Anna

WAVES/ウェイブスのAnnaのレビュー・感想・評価

WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)
4.2
久しぶりの映画館鑑賞!
滑り込みで見ることができた。ほんとによかった。

観終わったあとは、なぜかしばらく心が重かった。とてもとても。
家族の未来の明るさを示して終わるのに。
きっといろんな人の心情に自分を重ねすぎてしまったせいだと思う。

色々なレビューを読んだり聞いたりして、意見が割れてるところを見ると、やっぱり人それぞれの感じ方があって面白いなと思った。

私の心がしばらく重くなってしまったのはなぜだろうと考えてみた。

レスリングもピアノもでき、友達関係もSNS上でも完璧に見えるタイラーは、人に言えない悩みを持ち、絶望的になる。
彼女のアレクシスは学校で1番の美女。妊娠をし産むことを決意するも、タイラーに反対され悲しむ。
アフリカ系アメリカ人として成功を収めた父ロナルドは、タイラーにも成功して欲しいと完璧を求めるが故に、全てを自分の支配下に置きたがる。
継母のキャサリンはタイラーにひどいことを言われ、落ちるまで落ちたタイラーがなぜそうなってしまったのか悩み、それはロナルドのタイラーの接し方だと責任を押し付けたくなる。
妹のエミリーはスーパーヒーローのようだった兄が間違いを犯し、今まで影だったような自分が、更に奈落の底に落とされる。
しかしそこに現れる天使のようなルークに救い出される。しかしそのルークにも長いこと会っていない父がいて、癌でそう長くないと知る。

アレクシス役のアレクサ・デミーがインタビューで「人は拠り所と愛を求めてる」って言っていて、この映画は絶望的でありながら希望が見えるからこそ、今の自分にとても刺さった気がする。私が求めてることがこれだと分かった。ハッとしたのと同時にまた悲しくなった。私にはそんなもの手に入れられるのかといつも思ってしまうから。

また、全てが監督の実体験であることからまたさらに胸にささったのかな。

私自身会った事のない父がいてなにしてるかもわからないから、ルークと同じような境遇に立つとしたらどうなるだろうとか考えしまった。
また、もし予期せぬ妊娠で恋人にあんな態度を取られてしまったら?
タイラーの全てを失い、絶望的な気持ちからくる抑えられない負の感情。母の子を思うあまり自分と夫への苛立ち、父の息子にも成功して欲しいという気持ち、妹の隠し続けていた気持ち。すべてがすっかり心に染みた。溶けてきた。

今でもサントラ聴きながら思い出すだけで涙が出て出てくる。

自分の反省点としては、画角が主人公の心情によって変わる点は、色々聞いていたし、この監督がよくやる事らしいからそればっかり気にしてしまったのもよくなかったな。聞かなきゃよかった。

歌詞がとてもマッチしているとのことだけど、そんなに歌に関しては詳しくなかったのでわからないけど、自然に入ってきていたのかな。

セリフがとても少ない映画だというのに、なぜこんなに気持ちどくどく溢れるのだろう。不思議な映画だなと思った。

最後に、黒人問題とかも考えられるし、SNSの問題とか生々しくて辛かった。
そこにエミリーのもとに現れるルークを最初はなにか悪い企みがあるのではないかと疑ってしまった自分が憎い。笑
きっと彼の父のこともあったから理解ができたのかな。私もそんな人間になりたい。

愛と拠り所をもとめて今日も明るく生きていきたい〜。
Anna

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