FREDDY

グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇のFREDDYのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

太宰治の未完の遺作『グッド・バイ』を独自の視点を交えてケラリーノ・サンドロヴィッチが完成させた舞台劇を成島出が映画化した本作は、終戦直後の日本を舞台に、愛人を何人も抱える、闇稼業で小金を稼いでいた文芸誌編集長の田島周二が、疎開中の妻・静江と娘・幸子のために真っ当な生き方をしようと愛人たちとの別れを決心するも優柔不断な性格が災いし別れを切り出せずにいた中、知り合いの作家からの提案を受け、別れの口実として嘘の妻を演じるよう頼み込んだ、泥だらけの顔を洗えば誰もが振り返るほどの美女で、金にがめつい大食いの担ぎ屋・永井キヌ子との嘘夫婦の企みや、それによって巻き起こる騒動をコミカルに描いたコメディ作品となっているのだが、大泉洋をはじめとしたキャスト陣の顔ぶれは豪華でこれだけでも観る価値はありましたし、それぞれに味のある演技も見せてくれ、やはり中でもずば抜けて存在感を示していたのは永井キヌ子を演じた小池栄子。彼女の演技は観ていて常に面白かったですし、豊かな表現力を見せられ改めて魅力に気づかされました。そして内容としてもツッコミどころはありますし、結末こそは教科書通りと言いますか、思い描いていた通りのものだったのでとくに驚きもなく、安定の着地を見せたという印象ではあるものの、それに至るまでの過程がわりとひねりが効いていて今後の展開が気になってしまいましたし、単純に面白かったです。ただ、全体を通して盛り上がりはなく、コメディ要素は散りばめられてはいるが、ツボには到底届かない程度。後半に急展開を見せるも、あの結末に至るまでの過程は良しとしても登場人物らの心情をもう少し紡いで欲しかったですし、本作は暇つぶし程度の視聴が丁度良い作品といったところですかね。
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