チーズマン

Our Friend/アワー・フレンドのチーズマンのレビュー・感想・評価

4.2
ケイシー・アフレックのファンとしては当然観るわけですが、主要キャストは子役含めみんな良かったですね。
特にキングオブベストフレンドのジェイソン・シーゲルの演技も良かったです。
全てが集約された最後のハグのシーンとか素晴らしかったです。

マット(ケイシー・アフレック)とニコル(ダコタ・ジョンソン)の夫婦と娘2人、癌になった妻ニコルとの闘病生活を、夫婦お互いの共通の親友のデイン(ジェイソン・シーゲル)と共に生活して寄り添うという少し変わった物語です。

デインが仕事からプライベートからなにからなにまでを犠牲にして親友夫婦の闘病生活を手伝うんですが、実話ということで、個人的にすごくリアリティを感じて沁みましたね〜。

内容はとても辛く苦い部分の多いのですが、終始穏やかなトーンで、登場人物達が辛い状況に飲み込まれそうになるとふっと引きの画で解放したり、ちょくちょく挟まれるユーモアで暗くならないように仕上がってました。


そういったところよりも、もっと個人的な共感が強いタイプの映画で、とても沁みました。

ここからはレビューではないですが。

前提として、癌とは比較にならないですが、自分の幼馴染が重い鬱病を患い、しかし諸事情があり家族の支えがなかなか得られない状況なので自然と自分ともう1人の共通の親友とで何かと鬱病の幼馴染に世話(ここではあえてこういう言い方をします)をしているうちに気がつけば10年経ってました。

10年と言っても症状に浮き沈みがあるので、ずっと全力投入というわけじゃないですが、友として出来ることは全てやったことは間違いないですね。


わざわざ計算なんてしませんが、その間に親友と共にかなりのお金と時間とエネルギーを費やして寄り添っていると思います。

つまり、何が言いたいかというと、やっぱ周りの人達から言われるわけです、
「なぜ家族でもないのに君たちが自分の時間と金を犠牲にしてそこまですることがあるんだ?」と、色んな人から。
奇異な目で見られるわけです。
この映画のデインも周りの人達から全く同じことを言われて、「友達だから力になってやりたい」ぐらいしか言えないわけですが、すごく良く分かるんですよね。
不思議なもので、もはや損得でやってるわけじゃないのでそうとしか言えないんです。笑

劇中では、一方的な献身ではなく、逆にデインにとっても親友夫婦の存在がどんなに大きいかが示される場面がありますが、そこも共感しました。
例えば自分の人生の中で、絶対に変えの効かない何かを共有した相手というのは、自分自身を形作るピースの1つになってるわけで、その相手を見捨てるということは大袈裟に言えば自分を見捨てるようなものでもあり、そこにあまり理屈みたいなものは無いきがします。

だからこそ他人には理解されないわけですが。笑


ただ、1番共感したのは映画の中ではなく、来場者特典として、向こうの雑誌に掲載された記事の抜粋が載った小冊子がついてくるんですけど、そこに書いてあることが1番うなずきました。笑

末期癌を患う大切な人に看病しながら寄り添うという本当に大変な毎日を過ごす中で、親友同士の2人が、
「やがて、あまりにもダークで説明のつかないジョークを言い合っては笑い転げるようになった」 

これ、めちゃくちゃ分かります。笑
誰にも言えないし、他人は笑えない、究極の内輪ネタみたいなものですね。
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