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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONEのogoのレビュー・感想・評価

4.0
シリーズは全て鑑賞済み。

最終作のPart1と言うことで、そこまで期待値は上げずに、記憶を新しくする為に過去作少し復習してから鑑賞。

前作から継続して登場するキャラも居るので、最低限『フォールアウト』は観ていた方が楽しめるかと。あと、ルーサーがシリーズ内でも特段に良い立ち位置なので、どうせなら全作観てからの方が言葉の重みが違う。

結果、とても『ミッション:インポッシブル』な出来でした。

二部作構成にしたことで、勿論アクションシーンは素晴らしいものがあるのだけど、それ以上にキャラクターが交わす「会話劇」が充分な時間を割いて展開され、ドラマ部分の構築が過去作よりも重みを増していたのは好印象。
ただ、アクションを期待していると、ちょっとダレるという評価もありそうではある。まず、やりたいアクションシーンを考える→ストーリーはそれから考える、というシリーズの作り方が、構成にもそのまま出ちゃってる感はある。アクション→会話劇→アクションシ→会話劇…の繰り返しになっちゃってる。

シリーズ化を重ねた予定調和をコメディ的にネタにしているシーンも多く、序盤は客席から笑いや突っ込みが湧き起こっていたのも、シリーズの中では新しい側面を魅せてくれた感。トム・クルーズなりの「劇場で映画を観る体験」というものを意図した粋な配慮だったのかなとも思ったり。イーサンを追う二人組も良い味出してました。

アクションシーンに関しては、予告やメイキングで結構見せちゃってるのと、お決まりのタイトルシーンでも見所がフラッシュ的に流されるので、初見の感動が少し削がれる気持ちになったのは正直なところ(一週間前に観た『君たちはどう生きるか』が事前情報完全シャットアウトだった故の感動が強かったので、余計に予告や広告の鑑賞体験に与える影響について考えてしまった)

と言いつつも、もちろん初見で出てくるシーンや設定も多く、今作のヴィラン「エンティティ」は非常に現代的で、テクノロジーを活用して戦ってきた過去シリーズ作品の戦い方が通じない、結果アナログで相対するしかない、という、現代において一個人やチームが肉弾戦で向き合う必然性や納得感を作れていたのは秀逸。
しかし、「エンティティ」を「それ」としか訳さないのはどうなんでしょう、戸田奈津子さん。重要な会話シーンで、ひたすら「それ」が連呼される違和感が凄かったよ。
初見の感動という意味では、序盤の潜水艦シーンは、潜水艦モノ好きには堪らん出来でした。

プロットに関しては「イーサンが本当に愛した女はジュリアとイルサの二人だけなんだぜ…と」いう前作の感動を、ちょっと裏切るそっちいくか?という展開なのが若干違和感あって哀しい部分はある。イルサ、そんな終幕で良かったのか。イーサンが守りたいと思っていたのと同じように、イルサもイーサンを守りたかったという構図は理解できるのたけれど、どうせなら幸せに戦いの輪廻から解放されて欲しかった。ヘイリー・アトウェル演じる新ヒロインの描写に深みが無く、どうも愛せない。トムが共演したかっただけなんじゃないかという気にもなってしまう。結果、退場を余儀なくされたイルサ、と映ってしまった。

それでも、劇場で観る価値は感じた流石の163分でした。

Part2どう展開するか。

何せ『ユージュアル・サスペクツ』脚本のクリストファー・マッカリー監督だから、Part1での布石を華麗に繋げる驚きを持ってきてくれるか、どうか。

今から楽しみ。
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