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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONEのTKEのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

俳優トム・クルーズの代表作であり、長年シリーズが続いている「ミッション・インポッシブル」第7作目の前半。

60歳を越えてなおアクションをこなすトムはさすがの一言…ですが、個人的には面白かったけど、そこまで大絶賛とまではいきませんでした。

160分を越える上映時間は長さを感じさせることは無かったのですが、中だるみがスゴかったです。
また、今作の敵である新キャラ、ガブリエルが主人公であるイーサン・ハントと因縁があるようなのですが、深堀りされていないため2人の対決にそこまでのめり込めませんでした。


以下、ネタバレあります。

ロシアの潜水艦「セヴァストポリ」は高度なAIを搭載した推測航法(=デッドレコニング)による試験運用をしていたが、この新型AIが自我を持ち、船員に自らの潜水艦を撃沈するよう誘導し水没させてしまう。
そのAIのコントロールには2つの鍵が使用されていた。

IMFエージェントのイーサン・ハントはかつて行動を共にした元MI6エージェントのイルサが鍵の1つを持っており、その鍵を取り返すよう任務を受け、アラビア砂漠へと向かう。

「エンティティ」と呼ばれる新型AIは水没している潜水艦内から各国のネットワークに侵入・学習するという脅威的な存在へと進化していた。
ワシントンD.C.に集まった情報機関のリーダー達はこのAIを制御する者こそが世界を制すと結論づけ鍵の入手とAIのコントロールを目論むが、イーサンは「それ(=エンティティ)」が人の手に渡る前に破壊するため、独自に鍵を手に入れることを決意する。

チームメンバーであるベンジーとルーサーと合流したイーサンはネットワークの情報を元にもう1つの鍵を取引する人物を突き止め、アブダビの空港へと向かうが、そこにはイーサンを逮捕するために動き出したアメリカ諜報員ジャスパー一行と、エンティティと共謀するイーサンの因縁の相手であるガブリエルが集結していた。



自我を持った超高性能AIが各国の重要機関に侵入してくるからそれを制御して世界の覇権を掴もうぜ…と世界中の国が企んでいるのでイーサンがそれを阻止するという、イーサン・ハントvs世界という大規模な話になっています。

…が、取りあえずメインの敵として出てくるのはエンティティの代わりに暗躍する人間ガブリエルと、何やら悪役ムーブをかましているIMF上層部となります。

このガブリエルは初出のハズなのですがイーサンがIMFに入った理由となる超重要人物のようです。
しかしながら、作中では何者なのか全く語られません。

また、イーサン達の前半の行動理由は「鍵はいったい何に使うのか?」を調べる事になっています。
そのため、まずは鍵を手に入れようとするに人のところに行き、次に鍵を利用しようとしてる人のところに行き…となるのですが、見てるこちら側は冒頭にて「エンティティの制御キー」ということが分かっているため、話が進展しなさすぎてヤキモキします。

イーサン達が知らないことを観客が知っていて、観客が知らないことをイーサンが知っているという状況がずっと続くので作内のキャラクタと同期ができず、素直に映画に没頭することが出来ませんでした。


アクションシーンもトム・クルーズが年なのか、やはり無茶苦茶なものは少なめで、全体的にもっさりした印象。大きな見せ場はコマーシャルでも散々流れていますが、崖からバイクごとダイブするシーンくらいです。
カーチェイスは町中を走り回るのですが、途中で乗り換えたり、不必要に登場人物がパニックになったり、普段ならカットしているであろうところを残してるのかな?というような印象であまり興奮できませんでした。

全体的にそういった印象が強く、不要なところをカットすれば前後編にしなくてよかったのでは?=後半もこんなダラダラ話が続く感じなの?というのが率直な感想です。

とはいえ、主演のトム・クルーズの年齢を考えればここまでこなせるのは流石の一言です。

特に最後の列車内での立ち回りは、シリーズお馴染みの超高層ではないものの、ドキドキハラハラしました。


今作にて新ヒロインのグレースが登場し、その代わり退場してしまう人もいるのですが、果たして等価交換以上になっているのでしょうか?
グレースを仲間に引き込む流れがなんだか無理やり過ぎて、後でフォローが効くものの結局墓穴を掘りまくるのですが、一流スパイとしてそれはいいのか?と思うこともしばしば。

変装マスクマシンが突如壊れるというご都合展開(エンティティによる破壊かもしれないけど)なシーンなど、今作のイーサンは焦り過ぎな感が否めませんでした。

ただ、これは逆に「あのイーサンが冷静でいられないほど今作の敵は強大で強敵」と考えることも出来るので、意図的にやってるとしたら申し訳ないです。


超高性能AIのエンティティですが、なぜか作中ではずっと「それ」と呼ばれており、字幕で見たら分かりづらいことこの上ないです。

そして、エンティティが唯一恐れているのがイーサンなのですが、なぜかと言うと「利用ではなく破壊しようと考えているのがイーサンだけだから」ということらしいです。
そんな事ある?と思いましたが、ターミネーターにおけるジョン・コナーみたいなもんか…と個人的には納得しました。


一応、今作は今作でまとまった終わり方をしており、中途半端な引きを見せて終わるような形ではないので単発作品として楽しむことも出来ます。

正直なところ、歴史に残る名作だ!とは思えていないのですが、イーサンの過去とガブリエルの関係、そもそものガブリエルの目的等の謎が解き明かされ、前後編合わせて名作だ!となる可能性は大いに感じています。

現在(2023/8)のところ、いつ公開になるかは未定のようですが、後編に期待したいです。
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