夜行列車に乗ったカリート

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONEの夜行列車に乗ったカリートのレビュー・感想・評価

2.0
トム・クルーズ主演
クリストファー・マッカリーとのタッグで贈る、制作費2億ドル越えの超大作。

いや、面白くないぞこれは…という印象。

アクションシーンを先行して撮影した本作。まず全体のストーリー展開が良くなかったです。
各アクションシーンを説明パートが繋ぐ手法を取っているのですが、演者にコメント回しをさせては、その状況を淡々と説明します。
その説明が回りくどく、話を追いかけるのが退屈です。結局は「AI制御のカギを奪う」という一言に集約されており、ストーリーに関心がまったく持てませんでした。
テーマ自体は、実際に起きているストとも関連して面白く作れそうなのに、内容にまったく惹かれないという。

また肝心のアクションですが、旧ハリウッドのような、実写アクションに拘った撮影は良かったと思います。金も相当掛かってるし、トム・クルーズ自身の映画哲学もあったのでしょう。
ただ、その内容は正直微妙でした。
確かにバイクのベースジャンプはなかなか見れるものではなく、リアサスを使って上手く飛び出していたトム・クルーズの運転技術には驚嘆します。モトクロスの練習とかもしてるのでしょう。
ですが、素人目にこのバイク操術の凄さは伝わらないと思ってしまうし、何よりあんなに宣伝していて一瞬で終わるので、これだけかと拍子抜けしました。

列車のシーンでも、実際に車両を谷底へ落としての撮影で、確かに凄いアクションでした。
ただ、CG技術の作品にどっぷり浸かった現代視聴者にとって、実写映像とCG映像の差別化に、そこまでの付加価値を感じられるのか…という問題があります。
「まぁ凄いけど、もっと凄い(CG)映像が他の映画でもあるし…」といった具合です。
その点、トップガンは唯一無二のアクションで良かったんですけどね。

あと、トム・クルーズ自身について。
作品全体を通して、「主人公イーサン・ハント」というキャラクターを見ているのではなく、ずっと「俳優トム・クルーズ」を見ているという気分でした。
ストーリーが杜撰で登場人物の深掘りがされておらず、トム・クルーズのアクション撮影が優先されているようです。
良くも悪くも「俳優トム・クルーズ」を見に行く作品でしたね。
これではトップガンのような快進撃は無理だろうな、と思ってしまいます。

まぁ色々思うところはありましたが、結局の所このシリーズが大きくなって大味になり過ぎたのでしょう。
冒頭の劇場に足を運んでくれた人への挨拶シーンとかは良かったです。現代アクション映画を盛り上げようという気概を感じました。
パート2には期待です。