花屋を営む夏目。
夏目の花屋に、中学生の女の子が花を買いに来る。
彼女は、好きな相手に告白をするために花を買いに来ていた。
花と告白、この映画で終始描かれるモチーフで映画は始まり、夏目の活ける花と様々な人々のドラマが描かれる。
夏目の行きつけのラーメン屋店主の木帆。
夏目に恋する人妻。その妻のことを愛しすぎる夫。
実家の手伝いで花を買いに来る女子中学生浅井は、密かに好意を持ち、浅井も冒頭の女子中学生から好意を持たれている。
この映画には、誰かに好意を持っている人が多く出てくる。
その相手は別の人に好意を持っていて、成就はしないが、その気持ちに誠意と好意をもって返答する。
コミュニケーションとしてあるべき姿なのかもしれないが、現実ではそれを行うことが中々難しく、この映画で描かれるその姿がとても心地よい。
映画の中の、夏目に告白する妻の真横に寄り添う夫のように、歪んでるのか真っすぐすぎるのかよく分からないが、行き過ぎた形もまた面白い。
花を愛す夏目が、誰かに届くように活けた花。
好意を伝え、好意を添えて返す事が心地よいコミュニケーションをもたらし、その心地よい関係が広がっていく幸福な時間が描かれていた。
