Miller

パーム・スプリングスのMillerのネタバレレビュー・内容・結末

パーム・スプリングス(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

妹の結婚式に参加するサラは、結婚式にアロハシャツで現れ、感動的なスピーチを披露し、ダンスも口説き文句も完璧なナイルズと出会う。
良い雰囲気になった二人のもとにハンターのような男が現れ、その男に弓で撃たれたナイルズは、ふらふらと洞窟の中へと入っていく。

場面が変わると、ナイルズが目覚め、結婚式当日の朝を何事もなかったかのように行動する。
ナイルズがプールで浮き輪で漂いながらビールを飲んでいると、興奮状態のサラが押しかけてきて「あんた私に何をしたの!」と怒鳴りつける。
サラはナイルズを追い、洞窟の中に入ってしまったサラは、ナイルズとともに結婚式の当日をタイムループすることになった。


その一日に起こること、その世界の人々を知っている二人が、タイムループする世界を楽しみ始めてからの描写が面白い。
目隠しをした新郎の友人を地獄のような場所に送り込んだり、二人は繰り返される世界を満喫していく。


劇中でも引用される「恋はデジャヴ」では、主人公が繰り返され全ての行動が元通りになってしまう1日の中で、一度は自暴自棄になったあと、その世界を生きる人々の1日を最良の1日にしようとする人に変わる。
その世界の人々の1日がより良い日になったとしても、全く無意味なことだとしても、その日々に彩りを与えようとする姿が描かれる。
同じ一日を繰り返す囚われた世界の中であっても、その人自身は囚われることなく、その世界の中で誰よりも自由な存在になる。


一方、この作品では、繰り返され全ての行動が元通りになってしまう1日の世界の中で、お互いが自分の世界に彩りを与えてくれる存在だと分かる。
この作品の世界は、文字通り二人だけの世界(+1人)で何度も繰り返し、その世界の中を自分達の思った通りの世界に作り替えて、ずっと生きられる。
しかし、サラはナイルズがその相手だと分かった次の朝に、自分の1日はある最低な出来事とともに迎えた1日だったということを思い出す。
1日が繰り返される中でサラは、自分が妹の結婚相手と行きずりの夜を過ごしていたことを、忘れてしまっていた。
サラはこの世界からどうにかして、脱出しなければならないと気がつく。
二人の間で、繰り返される世界の捉え方が変わったとき、物語は展開し、二人は決断をする。


どのような結果になるのか分からないが、二人で飛び込む。
その様子は、この物語の舞台である結婚式が理想とする、若い二人の結婚のようで、二人の新たな一日が始まったと分かるエンディングは、とても爽やかな感情がもたらされる。
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