atsushi

mellowのatsushiのレビュー・感想・評価

mellow(2020年製作の映画)
3.8
2020/01/22 1回目
【2020年19本目】
〜映画と平凡〜

"毛量、多くない?"

「知らない、ふたり」が伝えない話なら、
「mellow」は伝える話。
気持ちを伝えた後の2人の微妙な、でも確かな感情の機微。
今泉監督の作り出す会話空間は、誤解を恐れず言えば、とても平凡でありふれた現実に近いもので、でも映画としては珍しく、感嘆してしまう。
それは、極端に間延びさせたシーンがそうさせるのか。

なぜ今泉監督作品を見に劇場へ足を運ぶのか。
他のフィクションじゃ味わえない味わい深さがあるからです。それこそ【mellow】ですよ。
日常の何気ない、しかも其処を切り取るかという絶妙な選択と、それを映画という作り話の中に溶け込ませる自然さ。全てが全て現実っぽいというわけではない、ちゃんと映画映画している部分もある。でもそれらが互いにシームレスに繋がっている違和感の無さ。日常的であるが故に来る愛おしさ。
あとは独特な笑いのセンス。
突飛なことや変テコな言葉を発せずして、空気感とか距離感、リズムや間合い、立場や状況、それらのズレから来る可笑しさで以って笑わせてくる。
今作でいえば、ともさかりえのあのシーンが其れに当たります。

今泉作品としては珍しく、毒がなく優しさに包まれたような作品でありました。
女子ばかりの劇場内は笑い声とすすり泣く声が響いて...。

”ありがとう。でも、ごめんなさい。”

2020/10/17 2回目
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