badhabit

mellowのbadhabitのネタバレレビュー・内容・結末

mellow(2020年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

正直、予告の段階ではそれほど興味をそそられない映画だったが、影響を受けやすいのでタイムラインに感想が流れ始めると気になってしまう、僕の悪い癖。(杉下さ京)
結果、うん、これも割と好き。温かくて優しい世界。今作については登場人物のほとんどが自分なりの誠実さを持って理性的に生きているので、鑑賞中にイライラしたり鑑賞後にもやもやを抱えることがなかった。
ストーリーに抑揚はなく、大きな事件も起きないために心が大きく揺さぶられることはない。その分、安心して観ていられて心が癒される。自分たちと大きくかけ離れた生活をしていない登場人物と彼らの行動や言動に親近感を覚え、日々の生活の中で感じる程度の感情の揺らぎを呼び起こし、それが過剰でなくて心地よい。毛布に包まってお気に入りの音楽を聴いているような気分になる。
淡彩画のようなほのぼのとした世界観で、真摯に人と向き合うことの大切さが描かれていた。勇気を持って誠実に手渡された気持ちを、誤魔化したり笑ったりせずに真っ直ぐ受け止めることの美しさを感じた。
個人的に、自分の中で燻っていた、一方的に好意を向けられることに対する嫌悪感とか、相手の気持ちを受け止めることを回避したがる怠慢さや手渡されていない気持ちに対しての自身の在り方とか、そういった部分を決して説教臭くはないが静かに諭し、優しく導いてもらえたような、ストンと自分の心に入り込んできた映画だった。
前評判の「恋愛したくなる映画」は存分に理解出来たし、わたしも誰かに好きって伝えたいな…と思ったが、相手がいなかった。解散。
ラーメンウーマンの岡崎紗絵がもうめちゃくちゃに可愛い。互いの恋人の有無を探り合う駆け引きの会話、キュンキュンしてしまった。こういう会話シーンは自然なので、もう少し台詞で説明し過ぎてしまうところが削られていたらもっと良かったなと思ったけど、これは言葉で伝える映画なんだったな。
ともさかりえ演じる青木麻里子、コメディーシーンで普通に笑ってしまったものの、「気持ちが離れているのに一緒にいるのは不誠実」と思ってしまう考えは理解出来てしまうな。ズレてるところもあるけど真面目な人なんだと思う(うっ自己擁護だこれは)

his、mellowと立て続けに今泉監督の映画を観たので自分の心もデトックスされて綺麗になった気がした。完全に気のせいだった。
badhabit

badhabit