ヒロシー

失くした体のヒロシーのレビュー・感想・評価

失くした体(2019年製作の映画)
4.0
主役二人の恋物語なんて正直心底どうでもいい(作品全体としても大事な要素ではあるが)。とにかく手が旅をするアニメーションが素晴らしい。指と掌と手首、この限られた人間の部分だけで出来ることは思っている以上に多く、それを余すことなく見せてくれる。何かを掴むことができる。それだけで殺すことも逃げることも可能なのだ。そして大事なのは、それこそヘレン・ケラーとアン・サリヴァンのエピソードで知られるように、子供の世界を広げてくれるのも手、そしてそこから伝わる温もりや感触なのだ。そこから導かれるのは、この手の持ち主、つまり手を失った者が、それでも出来ることにより世界を広げ、それを別の感覚で受け取るもう一人…という、今年観た映画でもベスト5に入るエンディング。必見です。アヌシー国際アニメーション映画祭長編映画賞受賞(ちなみに前々回は湯浅政明の『夜明け告げるルーのうた』)。
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