柊

キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱の柊のレビュー・感想・評価

3.3
生まれて初めて読んだ伝記小説がキュリー夫人だった。小学一年生にしてはなかなか渋い選択だと思う。
そしてそれを演じるのがロザムンド・パイク。もうこれは結果がどうであれ観るしかない。
いざ鑑賞。

こういう意志の強い女性を演じさせたら今ピカイチじゃないかい。私は彼女が出るってだけで何か奮い立つ気分になる。それくらい過去の作品見ても際立ったキャラの女性を演じている。
もちろんキュリー夫人も女性で二度のノーベル賞受賞者。意志の強さに欠けては同じにおいがする。
新しい物を発見する事は人類の進歩においてとても大切な事だ。だがしかしそれをどう生かすかは我々人間の側の問題。成熟した社会において善なるものだけで地球が回っているわけでは決してなく、目的を間違えば放射線は取り返しのつかない甚大な被害を与える事になる。それはノーベル賞設立のきっかけとなったダイナマイトの問題と同じ。事実、彼女達の研究の成果が評価されるのと同時にスクリーンには広島の原爆投下、そしてチェルノブイリの原発事故を想起させるような映像が流れる。もちろん放射線の研究により恩恵を受けた医療分野の実績は計り知れないと思うが、核爆弾も原子力発電もキュリー夫人達の研究無くしては生まれてこなかったしろものかもしれない。
ましてや今、世界は核廃絶と言いながら核抑止論による世界の均衡を平和と履き違える現象が起きてしまっている。
純粋に新しい元素としての放射線の研究が後の世の各国の関係をこんなにも縛り付ける状態になるとは当時は考えもしなかったのかもしれない。人間が生み出した放射能という存在を今後も善きものとして活用していくにはそれ以上の知能をかけて、放射能除去装置を開発したする必要があるのだと思うが,人類はまだそこに至る事は無い。

それにしても、いつまでキュリー夫人なのだろう。もうそろそろマリ・キュリーでよくないか?
日本ではキュリー夫人がスタンダードだけど
世界での呼ばれ方はどうなっているのでしょうか?だらが教えてアモーレ。

でも作品としてはそれ程面白くはなかった。
柊