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ストレンジ・リトル・キャットのrebのレビュー・感想・評価

3.3
ベルリンのとある一家の1日を描く。
祖母を囲んでディナーをするために親戚が集まってくるのだが、何故か彼らの会話は噛み合わず、自分勝手な行動を続ける。
本作で特に神経を逆撫でされるのが、音の効果である。
会話を遮るように突然スイッチが入るミキサー。末っ子の奇声。壊れた洗濯機。なべの中で回り続けるガラスのボトル。犬の吠え声。
おもちゃのヘリコプター。
などのイライラする騒音が、常に薄笑いを浮かべ淡々と演技する登場人物たちの背後で響き渡る。
生きているのかわからない寝てばかりの祖母。ちょっとの怪我で流れる少しばかりの血。髪の毛が入った牛乳を飲み干し、縫い針をじいっと見つめる母親。
奇妙な緊張感は否応なく高まるが、ハネケ映画のような絶望が訪れることはない。
上映後のトークイベントでチェ・ブンブン氏から、ラモン・チュルヒャー監督はタル・ベーラのワークショップでの経験も活かされているとのお話があった。そこではシャンタル・アケルマン監督の「ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地」を観るよう薦められたという。
日常に押し込められ、積み上がっていく主婦の狂気のかけらや二面性は、本作でも色濃く影を落としている。
監督2作目の「ガール・アンド・スパイダー」も観てみたい。
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