YukiHomma

ストレンジ・リトル・キャットのYukiHommaのレビュー・感想・評価

5.0
特定の行事やシチュエーションの空気感を完璧に再現出来ている映画は大体面白い。
ウチも毎年大晦日に親戚一同集まるのが恒例である。祖父母の家に続々と親戚が集まって来て、長時間の運転で疲れてるんだから一旦座ればいいものを何をする訳でもないのに立ったまま部屋の中をウロウロして“働いてます”感を出すあの感じとか、2組の家族が一部屋に集まれば勿論普段の自由度も無いし自分たちの家族の中では暗黙のルールなんかがあったとしても親戚は知らない訳だ。だから誰かしらふとした瞬間の顔が明らかイライラしてる(双方の母親の場合が多い)のが分かる感じそのまんま過ぎて最高だった。ただ、それだけの映画ではなく『ガール・アンド・スパイダー』もそうだったけど、この監督の映画は色味もなかなか特徴的。着色料的な彩度の高さがあってルックにちょっと怖いぐらいの無機質で異常な清潔感と透明感がある。言い方を変えると全く生活感が無い空間で人間と動物がリアルな生活をしているという妙な気持ち悪さが漂ってる感じ。表現が合ってるか微妙だけど食品サンプル的なイメージ。意味深なインサートと編集が更にその気持ち悪さを確かなものとしていく。
趣味とまではいかないが、写真を撮ったり見たりするのも好きなので、かつてそこで人が生活していたであろう痕跡は残っているがどこか空虚的で廃墟的な写真が特に好きで、かつ撮りたい写真でもある。今作はそれを映画として表現していて好きとしか言いようがない。

子ども大叫び映画と言えば『システム・クラッシャー 家に帰りたい』も同じドイツ映画だという事もあって気になっている。
YukiHomma

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