りっく

ロストガールズのりっくのレビュー・感想・評価

ロストガールズ(2020年製作の映画)
2.8
本作は実際に起きた連続殺人事件を描いているが、失踪した娘を探す母親の猪突猛進な行動力もあり、早々と怪しい人物や、おそらく娘の死体が遺棄されているであろう場所も推測される。だからこそ、ミステリー映画としての推進力はない。

本作が最も訴えたかったのは、警察の無能さである。通報を受けても初動が遅く、素人に証拠や証人探しを先回りされケツを叩かれても走らず、ましてや不備を隠蔽し、終いには辞職に追いやられることになる。そのあまりの無能さに母親同様呆れるばかりだ。

それを訴えるのであれば、もう少し描き方があったように思われる。そんな警察の担当者にも時に同情的と思われるような形でカメラを向け、さらに1年後という時間の経過も、その間なぜ捜査を怠ってきたのか、母親が忍び込んででも強行しなかむたのか疑問は尽きない。

母親が人付き合いが浅く、情報を得るためだけに行動するのに呼応するように、人間ドラマはあえて抑え、あまりにも淡白にサクサク進む前半は興味深く観れるが、人間ドラマに急旋回する展開もキャラクターの心情が決定的に変化する積み重ねや場面がないため、実話にもかかわらず切迫感や実感が湧かないのが残念。
りっく

りっく