Toineの感想文

ドリラー・キラー 劇場公開版のToineの感想文のレビュー・感想・評価

3.6
【70年代後半パンク風味ホラー映画】
売れない画家の鬱積の日々をアメリカン・ニューシネマ風に撮った青春映画と、燻った気持ちを歪んだ方法で発散するサイコホラーをミックスした作品でした。

監督自ら主演してます。
こういう多才で情熱がある方、尊敬いたします。
顔がスレイヤーのトム・アラヤに似てる。

若さで突っ走る荒い脚本と演出ですが、彼のパーソナリティーや周りからの影響、シリアルキラーになった経緯などがちゃんと把握できるようなストーリーだったのが個人的に好きです。

後、あのウサギのシーンはブットゲライト監督が「ネクロマンティック」でオマージュしたに違いない。

ドリルは凶器として地味だけど、これのみで犯行を成立させる物珍しさと不快な作動音、劇中ライブの音楽とカップルの喧嘩と被害者の叫び。そういうやかましさと妙に合っていました。

彼にはドリルがアーティスティックに見えたのかな?
実はちゃんと計算して武器を選んだのかなって考えてみたり。

しかも荒削りなのに面白く仕上がってるし。
バランス感覚良いと思った。

初期パンク文化にも触れられて勉強になりましたし、サービスの良い血糊の量とあえての中途半端な終わり方がとても好みでした。