俺的パルム・ドッグ賞

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ボリス・カーロフが呪われた双子を一人二役で演じる傑作ホラー映画。
双子の弟が兄をナイフで殺し、一族が終焉を迎える伝説がある男爵家に生まれた双子。成長すると善良な弟は土地を離れていたが兄に呼び戻される。非道を繰り返していた兄は…という話。
19世紀前半を舞台にした不気味な雰囲気と映像美が紡ぐ因縁譚。陰鬱かつ重厚な古城内部。秘密の扉ギミック。野ざらしの宗教的シンボル。夜の墓地さえ魅力的。そのうえ俯瞰したり仰いだり多彩なカメラワーク。この時代にズームまであり驚いた！さすがにカメラそのものを動かしてるのかな？撮影はアレン・G・シーグラーという人なのだけど、全然知らないし調べても有名な作品もなく。これはやはりB級映画における映像の魔術師（と勝手に呼んでいる）ロイ・ウィリアム・ニールの映像センスだろう。B級フィルム・ノワールの佳作「黒い天使」やベイジル・ラスボーン主演シャーロック・ホームズのシリーズを11作監督した人。追跡シーンは「去年の夏突然に」を思わせる。犬の名演技も完全なタイミングで吠えてこそ。ワンワン！ニール恐るべし。
そしてボリス・カーロフの一人二役の見事さよ。洒落者の弟も結局はカーロフなんで、不気味は不気味だけど。特殊撮影（ロイ・デイヴィッドソン）が自然で、カーロフが並ぶ姿も顔を見せつつ真横にならなかったり。本当に2人カーロフがいるようだ。
ヒロインはマリアン・マーシュ「悪魔スヴェンガリ」。その他キャサリン・デミル（デミルの養女）など。