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ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男の散歩のレビュー・感想・評価

4.3
トッド・ヘインズ監督で物語の中に社会問題を組み込んだ映画はあったけど実話ベースでここまでシリアスって初めて見たしマーク・ラファロは製作にも関わっていたりと力の入った作品でしたね。権威や歴史が市民に与える信頼「あんないい会社(あるいは人)が悪いことをするはずがない」という思い込みの恐ろしさや国のシステムがいかに大企業に都合よくできているのかという悪性、そして「時間」が誰に対して有利に働くのかという事をこれでもかというほどに見せてくれる本当に重く苦しい作品でした。でも、主人公が最初は企業側の人間であることから始まる事や徐々に真実が分かっていく様子がテンポよく描かれていてドラマとしてとても観やすく面白かったです。劇中でも市民の感情に触れる重要性が語られていましたが、「面白い」ということは改めて重要だなって思いました。主張だけが先走った説教くさい作品ってやっぱり敬遠されてしまうので、ね。劇的な何かやショッキングなシーンがある訳ではないですが(でもちょっとした言葉や状況が恐い)、何が他人事で何がそうではないかくらいは知っておくためにも観た方が良い映画でした。日本にとってはより切実に感じる作品なのかも知れない。果たして声を上げることは出来るのか、声を拾ってくれる人は現れるのか、法は正しく機能するのか・・・今の所は「う~ん…。」ですね。
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