さくらん

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男のさくらんのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

1970年代、冒頭のシーン。
夜更けに立入禁止区域に忍び込んで湖(池)で泳ぐ若者達が出てくるが、この湖の水面がすでに泡立っていて、不気味な雰囲気を漂わせる。
若者達は月明かりの下、気持ち良さそうに水遊びを楽しむが、もしかしたら、危険区域になる前のこの湖は、近隣の人達の避暑の憩いの場だったのかもしれない。

若者達は、あっという間に警備のボートに注意されて敷地から追い出されるが、その警備員もすぐさまライトを消して消泡剤(中和剤?)を湖面にまき始め、警備というよりは作業員。
この時点で、すでに汚染しているという意識があったという事なんだなと。

実際にこの水が問題となり、表に出てき始めたのは、30年も経ってから。
実在する『デュポン』という企業名、『テフロン』という商品名を出して、作中で起こっている事は全て事実で、現在進行系の話。
テフロン加工と言えば、こびりつかないフライパンを始めとする日本でも超メジャーな商品。
私の体内にも化学化合物の『PFOA』が蓄積している可能性もあるのだろう。
すべての環境汚染は、人間が引き起こしているのだと、この作品でまた自覚させられた。

この問題に生涯をかける、企業からの嫌がらせとしか思えない3535件の訴訟を行うビロット氏には尊敬という言葉しか浮かばない。

作品の最後にモデルとなったビロット弁護士夫妻、原告夫妻、バッキーが、本人役、もしくは端役として出演していたのがわかる。
こんなシリアスな作品にも関わらず、素人の出演者達が伸び伸びと演技をしていたのを見ると、製作者としてのマークの人柄を表しているのだと思った。
また、アンが弁護士の妻役で、男の子を3人も育てているのに、細くて綺麗すぎやしないかと思ったが、実際のご本人も細身で綺麗な方だった。