TAKA

悪なき殺人のTAKAのレビュー・感想・評価

悪なき殺人(2019年製作の映画)
4.2
皆、人には言えないことがある ー
登場人物がそれぞれ皆、隠し事をしている。それ自体、実はよくある日常なのかもしれない。
だが、ふとした事から偶然に起こる出来事があり、それらがこれまで関係のなかった人と次々に繋がっていく。

農場主の夫とは別の農場主の男を愛してしまう妻と、ネットで疑似恋愛にハマり、騙され貢ぐ夫。
愛のない夫を持つ女に、全てを捧げたいと迫る同性愛の若い女。
貧しい環境下、ネット詐欺で生きるアフリカの青年と影で糸を引く黒魔術師。

寒い雪のフランスから、熱帯のコートジヴォワールへ。
皆、欲望に逆らわずに生きようとするが、ある偶然によって狂いが生じる。

謎を振り撒きながらも、一つ一つのパズルのピースを嵌めていきストーリーが明かされていく展開は見事で、ラストシーンまで無駄がなく、そして場面のひとつまでを無駄なく見逃さなくてよかったと思わせる。
この手法は、一つの事象を様々な角度から展開させる、数多くあった過去の映画のどれよりも完成度が高い。脚本も映像も上出来の傑作といえる。
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