ささやかな生活描写と共に静かに進んでいく状況。
大きなストーリーの展開は無いというか必要ない。
ただ、ひたすらに叔父と彼に寄り添う姪の関係性を描く。
「血の縁や家族なんて幻想」とか「家族って言っても他人でしょ」て言葉は最近よく耳にするけど、本作の主人公は逆に過去の喪失経験から再び家族を失う事への恐れと、「自分の夢よりも家族」という構図が染み付いていて、きっとこの子にとってはそれが真理なんだな、と感じた。
つまり、この子に対して個人主義を説いてもヨハネスと同じく拒絶されるだけ。
個人主義か家族主義かの議論より、その人がどういう家族観を持ってるのか、なぜそこに至ったのか、その理解が大事。
そういう点で、本作は血縁が良い悪いではなく、ただ静かに「状況を見守って心を重ねる映画」として機能していたように思える。