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わたしの叔父さんのsoraのレビュー・感想・評価

わたしの叔父さん(2019年製作の映画)
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折り目正しい日常のなかにあるのは静寂
世界に叔父と姪の二人だけしか存在しないかのような時間と空間で、言葉を交わさずとも全てがあうんの呼吸でゆっくりと流れていく

姪は娯楽や恋愛を十分に楽しめないのみならず、向上心を保つこともままならない
身体に絡みついた鎖から抜け出すのは容易ではなく、また抜け出すことに罪悪を感じる
叔父と姪はお互いを大切に思うが故に切なさや歯がゆさという負の感情を抱える
画面から漂ってくるのは息苦しいほどの閉塞感と諦念感

それでも二人の穏やかで整った生活は続いていく

一日も長く彼らの平和な日々が続くことを願い、その一方でそう遠くはない日にクリスの心身が開放されることもまた願う

邦画感の漂う良作だった
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