KANA

約束の宇宙(そら)のKANAのレビュー・感想・評価

約束の宇宙(そら)(2019年製作の映画)
3.7

音楽・・坂本龍一

録画リストに埋もれつつあった本作だけど、教授の訃報を受け追悼の思いで鑑賞。

シングルマザーであるフランス人宇宙飛行士とその娘の葛藤と絆を軸にしたストーリー。

第一の感想…エヴァ・グリーンがいつにも増してアンニュイで美しい!
彼女はすっぴんorナチュラルメイクのほうが絶対魅力的。
妖艶な瞳、透明感ある肌、抜群のスタイルでジーンズ姿も宇宙服姿もミステリアスな色気を纏う。

そして宇宙ものとして、NASAでなくESA(欧州宇宙機関)の全面協力の下に制作されてる点がすごく新鮮だった。
選ばれし宇宙飛行士のみが入れるロシアのスターシティでの訓練や生活や、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地の様子もリアルに描かれていて、ヒューストンを見慣れてるとまた違う趣の宇宙ロマンを感じられた。
打ち上げシーンはすごい臨場感と緊張感!この映像は見応えあり。

幼き頃から夢見てきた宇宙。火星を目指す「プロキシマ」ミッションに参加できる喜び。
その一方で打ち上げが近づくにつれ、一人娘を残して自分が永遠に帰還できないかもしれない不安が募りに募る。
何も宇宙飛行士みたいなスケールでなくても、母親なら多かれ少なかれ共感できると思う。
女脳はホントにいろんな細々した事が同時に気がかりになって大変!

クルー仲間役のマット・ディロンの台詞
「完璧な母親がいないのと同じ様に完璧な宇宙飛行士はいない」
が、本作の描きたいメッセージなのかな…ととれた。
つまり、完璧じゃなくていい、自分の弱さも受け入れて、という。

全体的にシックな雰囲気がとても好き。
静かな中、娘ちゃんのハスキーヴォイスのフランス語もとても可愛くお洒落に響いてて。
且つ、前述のようにハード面はかなりリアリティを追求しててフランス版『宇宙兄弟』を観てる感覚で勉強にもなった。(生理止める?どうする?のくだりとか)
ただ一点残念な行動があって、そこは減点ポイント。

音楽は意識しないとわからないほどに馴染み、映像の暗めのトーンやサラ(エヴァ)の心理に寄り添ってた。
悲壮感と讃美歌のような透明感を併せ持つような繊細なサウンド。
坂本龍一は以前『僕らの音楽2』で自分の映画音楽論として
「映画の中での音楽はほとんど記憶に残らないでもいい。映画を立てる役に徹するもの」
と言っていて、この度改めてあぁその主張通りだなぁと実感した。
まぁ、戦メリは別格として。

教授、安らかに…
KANA

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