「生きてる限り僕は負けない」

〜最初に一言、台湾映画史上の傑作のー本として私はこの作品を選びたい。まさにVHSに埋もれ忘れ去られた台湾映画の最高傑作のーつだ。侯孝賢やヤンの先輩にあたる李行(リー・シン)のヒューマン・ドラマである〜

冒頭、一九四四年の台湾。土砂降りの中、赤子が産み落とされた。足に不自由が残る。子供時代、大人へと育つ。大好きな祖父、自転車乗り、本の出版、貧困農家、身体障害者、学校、成績。今、膝から這う人生が描かれる…本作は日本のシネフィルに愛されてる候孝賢監督作品の傑作の一つ「恋恋風塵」の劇中の中に流れる野外上映のシークエンスでフィルムに映る「養鴨人家」を監督した台湾のベテラン映画作家の李行(リー・シン)が一九七七年に制作され、監督した実話を元に描かれた愛と感動のドラマで、この度貴重なVHSをようやく手にして初鑑賞したが良かった。少しばかり残念だったのが自分が購入したビデオは、日本語吹き替え版だった。ゴールデンホーン賞を見事に受賞した映画で、日本では九十一年に公開されている。生まれながらにして歩行が困難な主人公が高校教師になるまでを描く台湾版「マイ・レフトフット」と公開当時は言われていたそうだ。


本作は冒頭に、一九四四年と記載され、土砂降りの雨の中ーつの家族が写し出される。子供の泣き声、母親が泣きながら足が不自由な生まれたばかりの赤子を抱きかかえ祖父に駆け寄る。祖父は子供に悪気はないと言って病院へと連れて行く。そして大きくタイトルロールが映し出され、壮大な音楽と共に物語が始まっていく。彼らはあらゆる病院に連れて行くが、この子は不運な星のもとに生まれた子だ。私にはどうすることもできないと断られてしまう。カットは変わり、美しい風景を捉えつつ、彼らの日常を優しくタッチする。続いて、その赤子が子供になり、這ってる姿が写し出される。彼は祖父が大好きで、また祖父も彼のことが大好きである。カットは変わり、学校のクラスへ…さて、物語はとある青年の豊喜は、身体障害者として貧困農家に生を受けた。絶望した母親は彼を殺害しようとするが、祖父は強く反対する。天から受けた生命は、それを全うしなければならない。たとえどんな苦難が待ち受けようとも…。

足が不自由な豊喜の障害は、成長後も変わる事はなかった。膝で這ってしか歩けない豊喜だが、彼の意思は不屈だった。最初は乗れなかった自転車も、何度も倒れながら、ついに乗りこなすことができるようになる。学校の成績も常にー番の豊喜は、校長からの激励を受けて大学へ進学する。法律を専攻し、懸命に勉学に励む豊喜。そして、いつか剣和という後輩との間に愛が芽生え始めた。しかし、彼女の両親は二人の恋愛に反対する…と簡単に説明するとこんな感じで、本作は、アジアにおけるアカデミー賞と言えるゴールデンホーン賞を始め多くの賞受賞した。いゃ〜、この作品をさっさとソフト化して欲しいものだ。字幕版で見れなかったのが残念であるが、台湾映画らしい詩情たっぷりな一本である。