三の線の雷蔵はとにかくチャーミングで憎めない。
武芸百般に通じ医学も師範、博奕だけがからきしダな八八の瓢太郎。こういう芝居をする時の雷蔵がいるから、シリアス魔道剣劇マンの雷蔵も活きるのだ。
お話は「婿さがし」もので、ナンセンス時代劇に近い仕上がりだが殺陣はきっちり、京マチさんも妖艶かつおとぼけでこちらも何ともチャーミングなダブル主演。「楽しい映画」の基本が見られる。 脚本はベテラン八尋不二。田中徳三とは狸御殿映画でも組んでいる。
にしても田中徳三軽妙だなぁ。時代劇でウインクとか、掛け声で「よ!大統領!」っとか、時代劇はいっそ自由でいいのだ。やっていいとこはね。時代考証や説明は作者と観客、共に器量裁量が試される。さじ加減と段取りを押さえておけば何でもない事。必ずやる必要は無し。受ける観客も、おうそう来るのかい、と見る。その共犯関係っていうんすかね。
最後も粋な落とし方で、満足の89分。