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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームのKEiGOのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

フェーズ4本格始動!
トムホスパイディ最終作にして、俺達が観たかったものすべてを詰め込んでくれました。とにかくエンターテインメントとアートのバランスが最高でしたね。
個人的には『アベンジャーズ/エンドゲーム』を超えて、MCU史上最高の作品だったと思います。
「新作2本と旧作4本を一気に観た」
そんな気分にさせてくれるぐらい満足度が高かった。
「エンタメにはまだまだこんな形があるのか…!」と大変驚きました。

これには久しぶりの満点スコアです!!!





以下、本編に関わる重大なネタバレを含みます。
まだご覧になっていない方は鑑賞後に読むことをお勧めします。





号泣です。
号泣でした…。荒木先生が言うところの男泣きってやつです。個人的男泣きポイントを挙げていきたいと思います。
①歴史
MARVELが今まで積み重ねてきた"スパイダーマン"の歴史の厚み。サム・ライミ『スパイダーマン』からのファンとしてはもうそれだけで感極まる。
作品のストーリーに沿って話していくと、まずはヴィラン達。橋の地響きだけで誰だか分かるオクトパス。奪うことただそれだけに忠実なエレクトロ。行き過ぎた科学者リザード。とにかく娘に会いたいフリント。そして圧倒的存在感のグリーン・ゴブリン。
それぞれサム・ライミ『スパイダーマン』、『アメイジング・スパイダーマン』から役者が続投してくれている…!これはすごい覚悟がいることだと思います。10年、20年のブランクを超えて、あの時と同じ、いやそれ以上のエネルギーをもってヴィランを演じねばならないのですから。今もまだファンの中に生きるヴィランのイメージを崩すことなく、演じ切ってくれた彼らには本当に尊敬の念しかありません。
とにかくウィレム・デフォーが凄い。全員食ってやるとばかりの狂気がまだまだご健在。(僕はどうしても『処刑人』の女装を思い出しちゃうんだけど…笑)

そしてネッドが呼び出す"ピーター"達。アンドリューがマスクを外すだけで胸の高まりが…!そしてふらっと現れるトビーに歓喜!!!しかし、大人になった彼らにはどこか哀愁があって…。

②10年越しの救済
ということで10年、20年越しの救済がなされるんです。
トビーは伯父、伯父を殺した強盗、親友の父、尊敬する博士、そして親友を失った悲しみが。アンドリューは愛するグウェンを救えなかった哀しみが。特に僕の涙腺を崩壊させたのはアンドリュー。衝撃的なエンドを迎えた『アメスパ2』。ヒーローとして"正義"を全うするのとは裏腹、最愛の人を救えないというMARVEL映画では珍しいバッドエンドで幕を閉じたアンドリュースパイディをやっと、やっと救ってあげられた。とにかくここで男泣き。
また、アンドリューの悲哀を帯びた表情が何とも言えず、そこも非常に評価したい。成熟しましたね~。『アメスパ』はデート映画と評していますが、あの頃とは一味違うアンドリューを観ることができて、とても興奮しました。彼に「スパイダーマンとしての青春はなかった」と言わせる脚本も憎いです。「エマ・ストーンと一番青春してたやんけ!でも残念ながら別れてるしな…。」というリアルとフィクションが絶妙にリンクしているのも、”スパイダーマン”の歴史の厚みがなせる業。

③男の覚悟
そして世界を守るためにトムホピーターが下した決断は、”すべての人から'ピーター・パーカー'の記憶を消すこと”。メイおばさんから受け継がれた"正しいと思うことを信じて、それを全うすること"を選択するわけです。愛する人を守るために、愛する人の前から姿を消す、と。ここも男泣き。トムホピーターが子供から男になった瞬間です。
再びMJとの関係を築くべく彼女のバイト先に訪れるも、彼女らの日常を目にして、自ら身を引く切なさ。まさかトムホピーターでこんな感情を抱くことになるとは…!
トビーが暮らしていたような部屋を借り、トム・ホランドは今日もまた独り悪に立ち向かう。"With great power comes great responsibility."
くぅ~!孤独だよ…それはあんまりに孤独すぎるよ…。


さて、そんな男泣きプロットを通して、本作が提示したのは「分断をどう乗り越えるか」。
デイリー・ビューグルによりスパイダーマンの正体が明らかとなり、世界はスパイダーマン派とミステリオ派に二分されます。まるで今のアメリカを象徴するかのように。
エレクトロも「弱きを助け、強きを挫くスパイダーマンは黒人だと思ってたぜ」と言います(そのスパイディは『スパイダーバース』にいるんだぜ)。本作のテーマがダイバーシティを包括していることが窺えますね。

この問題に対してMARVELが提示したアンサーが”一人ひとりが正しさを信じて、行動を起こすこと”。
合理的な判断だけで、心が信じる"正しさ"を裏切ってはいけない。最後まで信じ続ける、諦めずに働きかけ続ける。この姿勢が分断を乗り越えるには必要なんだというMARVELの熱いメッセージがひしひしと伝わってきます。

「そんなのリアルじゃないよ。夢物語だよ。」と言う人もいるかもしれません。それでも僕は「この姿勢はとてもMARVELらしくて好きだな~」と思います!
残酷で非情な現実を描くDCと対照的ですよね。無論、どちらが正しいという話ではなく、その両輪で生きていきたいと思うわけです。


良すぎて長文になってしまいました…笑
またどこかで会える日を待ち望んで。
Go, Spidey! Go!



(ドルビーアトモスにて視聴)
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