なす

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームのなすのネタバレレビュー・内容・結末

4.9

このレビューはネタバレを含みます

めちゃくちゃよかったなー。
いやまじで。
マーベル作品としてももちろん最高だと思うけど、個人的にはSFとして良い作品だとおもった。
インターステラーみたいに、科学的な裏付けをしっかりしてる訳じゃないし、テクノロジーが全面に出てるわけでもないので、ファンタジーに分類されてしまうのかもしれないけど、別の次元の存在をこんなにワクワクさせるものとして描いた映画って最近あったっけ?
SF的な設定って現代に警鐘をならすような役目ばかりを担わされている気がするんだけど、樋口恭介が『未来は予測するものではなく創造するものである』で述べたように、そもそも現代のテクノロジーは希望に満ちたSFに着想を得たものも多いはず。
マルチバースの横断が、人間の傲慢さに警鐘を鳴らすというような話ではなく、別のバースで誰かを救ったり、別のバースに救われたりポジティブな文脈として落とし込まれていたのが本当に良かった。
(まあ、マルチバースを接続したのがテクノロジーではなく、魔術だったというところが我々の科学への期待値を表してたりもするのだが…)

普通に考えたら人生は一回きりで、取り返しがつかなくて、どうしようもないものなんだけど、あり得た別の未来・過去を想像できることが人間の知性の一つの側面だと思うし、それが現実にバックキャストされて、本当に現実を変えてきたわけで。
とにかく、「別の宇宙の僕はどんな人なんだろう」なんてことを真面目にポジティブに考えさせてくれるだけでも本当にいい映画だなと思った。
なす

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