まねきねこ

ジャンゴ 繋がれざる者のまねきねこのレビュー・感想・評価

ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)
4.5
まず、布切れ一枚をまとった5人の黒人奴隷たちが現れる。汚れ方も皆一様、一見見分けがつかないが、ジェイミー・フォックス(ジャンゴ)の目元は、すぐに彼だと分かるくらい魅力がある。

ぶっ放たれる銃。飛び散る血液や肉片の量はタランティーノ割り増し。彼の映画を観てるんだなっていう気分に浸れる。しかしお馴染みの、会話が無い。意味があるのか無いのかよく分からないあの会話。そこが少し寂しいところ。とくにキング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)が保安官を撃つとき、黙って撃つなんて、あり得ない。これはまだ冒頭だが、このような平凡な西部劇がしばらく続く。ブリトル三兄弟を倒すまでは。

まるでKKKを思わせる覆面をまとった集団が登場する下りはサイコーに笑った。タランティーノ映画だ! ていうくらいにテンションが上がってくる。覆面をかぶる、かぶらないの口論なんてほんと下らない(ほめてる)。

その辺くらいでふと思う。レオはいつ出てくるの? サミュは? この映画、これからもっと面白くなるに違いない。

案の定、レオが出てきてから面白さのギアが1段階あがる。黒人嫌いの黒人執事スティーブと、レオの掛け合いなんかサイコーじゃないか。
そしてスティーブが実はサミュエルが演じていると気付いてからは、ギアがMAXに上がる。

ジェイミーはただただカッコいいが、サミュエルの演技もスゴいです。どうしようもないジイさんの演技からの、客の正体を見破ったときの目の演技の変わり様には参った(ここで彼がサミュエルだと気付いたのだ)。

そこからラストまでの展開は痛快というより他はない。最高の黒人映画である。
オススメです。