がんさ

きみの瞳(め)が問いかけているのがんさのレビュー・感想・評価

1.0
目が見えない女(吉高ちゃん)と、暗い過去を背負う、その日暮らしの男(横浜流星くん)が偶然出会った。

2人は親交を深めていくが、彼らの前にたくさんの障壁が立ち塞がる。果たして2人は幸せになれるのか!?!?…と言うお話。

〜〜〜

名作、街の灯インスパイアの韓国映画の、リメイクが本作だそう…内容諸々、この経緯にとても納得感がある!

〜〜〜

◆旧三岸好太郎アトリエ

映画には、様々なロケーションが登場するが、本作には隠れた名建築が登場する。

三岸アトリエ、設計:山脇巌

バウハウスで近代建築の大家ミース・ファン・デル・ローエにも師事した、モダニズム建築本流の系譜を継ぐひとり。

設計されたアトリエ空間は、高天井に大小様々な窓、シンプルながら豊かな質感、そして上下する動線が、五感を刺激してくれる。

特徴的な螺旋階段が、後半のあるシーンで少しだけ登場する。建築単体でもとても魅力的なのだが、作中ではほとんど映されない。使い方贅沢だな…いや個性が強すぎるから映せなかったのか?

〜〜〜

◆吉高ちゃんの部屋

一方アトリエの向かいに建つのが、本作で吉高ちゃんの住む低層の集合住宅。外部階段が独特w

こちらはアトリエとは対照的で、マンション黎明期の、如何にも昭和レトロなデザインが可愛らしい…

アトリエが90歳、吉高ちゃん宅は50歳、どちらの建物も映画に質感と温もりを付加してくれている。



白状すると、わたしは本作を建築目的で観た。不純な動機ですみません…



本作の途中、流星くんが目の見えない吉高ちゃんが危なくないようにと、敷居を取り払うシーンがある。

段差がなくなってる、ありがとー…と幸せ溢れるシーンなのだが、

何で切っちゃうの!!と心の中で叫ぶわたし。味気ない埋め合わせのベニヤ板に、本作で唯一涙しそうになった。

そもそも、家までの道(激坂の鬼階段)も、外部階段も、超がつくほど不便なのだから、

目が不自由になった時点で、引っ越すべきだったんじゃないの、吉高ちゃん??

〜〜〜

◆椰子の実

名も知ら〜ぬ〜、遠き島よ〜り〜
流〜れ寄〜る〜、椰子〜の実一つ〜…

吉高ちゃんが何度も口にする、本作を象徴する歌。

島崎藤村の詩で、友人の柳田國男が、愛知の伊良湖岬というところで、流れ着いた椰子の実を見て、その旅路に想いを馳せたと、いう話が元になったそうな。素敵な感性…

ここから生まれた望郷の詩が、辛い半生を過ごしてきた流星くんの心を支える。誰にでも帰る場所があると…まぁ、ちょっと切ってしまってたけどね!悲

〜〜〜

ルック0.5
シナリオ0無理がある。
役者0.5本作は吉高ちゃんの目がどう観る側に伝わるかが全てかと…自分にとっては…
深度0
がんさ

がんさ