EDDIE

野球少女のEDDIEのレビュー・感想・評価

野球少女(2019年製作の映画)
4.1
なぜ彼女は無謀にも野球に挑戦し続けるのか。
何度も壁にぶち当たり、心折れそうになっても挑戦を見守り信じてくれた人がいる。
新たな道を切り開くには周りの人の協力も必要。
挑戦する者だけでなく、全人類が人の夢を嘲笑うことなきよう観るべきだ。

『梨泰院クラス』のイ・ジュヨンが主役を務めるとか言われてもよくわからない私でしたが、本日鑑賞の三作品の中では一番期待値が高く、スポーツを扱っていることから相性もいいと思っていました。

実は途中まではさほどでもなかったんです。中盤すぎぐらいで主役スインの母が取った行動が韓国という文化の違いがあるとはいえ、今どきあんな行動に出ることが理解できずちょっと怒ってたレベルなんです。
途中段階では3.5ぐらいの感覚でした。

まぁいわゆる夢に挑戦する感動モノでよくある風な話やなと。
それが結構主人公に対する壁が何度も出てきて、挫折しかけて、周りで応援してくれる人がいて、あれ?もう成功できるんじゃないって思った矢先ガッカリ展開があって、からのおおー!そういう結末持っていくかーと。
だから個人的にはクライマックスで大きく個人評価が跳ねた作品です。

しかも途中までめちゃくちゃ悪者として扱われていた母親を、最後の最後に彼女のキャラクターを壊すことなく一つのセリフだけで愛着湧くキャラクターに仕立て上げた脚本の妙ですよ。
めちゃくちゃ嫌いだったのに、最後の最後に憎めないなぁこの母ちゃん、と。

ホント王道のプロ野球選手になる夢を目指して努力する高校生の少女の話なんですよ。主人公が女性というだけで、実際のところメッセージとしても男も女も関係ないってのが言葉だけじゃなく、ちゃんと作品としてもそれを示してくれたところが凄く良かったですね。
基本的に主人公に感情移入できるか、応援したくなるかってのがこの手の作品のキモなんですが、それは当然あるんです。
だけど、それ以上に夢を追う者を周りが止めることは許せないっていう大多数に向けたメッセージを放っていて、それで自分の中での評価が爆上がりした結果になりました。

だって、夢を追うのは自由にしても才能溢れてプロになれる人ってひと握りで、それ以外の人が大多数なわけじゃないですか。
映画を観る人の大半はそちら側ということも製作側は考えてくれてるんじゃないかなと。そんなちょっとした優しさを感じたわけです。

スポーツをテーマにした映画の中でも特に好きな部類に入るかもしれません。

※2021年劇場鑑賞24本目
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