MAY

マローナの素晴らしき旅/マロナの幻想的な物語りのMAYのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

NHKにて。

最初は「詩的でアーティスティックな作品だな〜〜絵本みたいだし、夢みたい」なんて思いながら、あまり真面目に受け止めず観ていたのだけど、激重作品だった。

のみこまれるような感覚に陥った。
マノーレが個人的にすごくすきだったから、自棄酒シーンがめちゃくちゃ辛かった。。もう心を奪われてしまったんだなって、人間って弱い生き物だなと悲しくなった。

あとは、イシュトヴァンの母親がマロナに皿を投げたシーンもかなりショックが大きかった。マロナが可哀想というのはもちろんあるけど、なによりも、母親の「わざとじゃないの」「こわがらないで」という怯え?混乱している描写があまりにもリアルで吐きそうになった。パリーンっていう音がよく響いて、まるで自分に皿を投げられたみたいに悲しみに襲われた。

あとはソランジュの母親の余裕がなくなった時の態度とか、ソランジュの「捨てたらいいじゃん!」の無責任さとか、祖父のマロナを捨てることができない人間ならではの情だったりもかなりリアルに描かれていて、人間の欲深さや無責任さにただひたすら心がしんどくなった。でも、自分も人間なんだよな…無責任なんだろうなきっとやと思うと益々ペットを飼いたくなくなった。怖くなった。この物語に出てくる飼い主みたいにならないとは限らないじゃない?、怖い。

マロナを抱きしめたい。
守りたい。待ってて、なんて言葉はほんとうに無責任なんだなぁ。

最期のシーンはあまりにも悲劇的で、救われなくて、いやある種マロナにとっては救いだったのかもしれないけど、やっぱり悲しくて。この映画のことすごく大好きになったけど、観るのに物凄く体力が必要だなと思った。


ぐにゃぐにゃして、身体が液体みたいなマノーレが面白かった。彼の人生は煙草人間によって崩壊してしまったのだろうか……考えるだけで辛くなる。
あと、工事現場の音作りも感動した!ご飯を食べる時の効果音がASMRとは程遠かった。イシュトヴァンの儚さというか、しんじゃいそう感もすごかった。恋人にキスされて目がぐるぐる😵‍💫しているシーンとか、もはや麻薬では?早く別れろよと思いながらもイシュトヴァンは別れなくて、そういう所が物凄く人間ぽかった。

マロナの健気さ、人間の自己中さをこんなにもストレートに作品に落とし込めるのはすごい。軽い気持ちで見始めたのに、繊細な描写や絵画のような鮮やかな色彩にとにかく目が離せなかった。
MAY

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