ニカイドウ

マローナの素晴らしき旅/マロナの幻想的な物語りのニカイドウのレビュー・感想・評価

3.5
死んでしまった犬が自分の一生を語っていく。
静止画やCGなど、様々な表現を駆使したサイケデリックなアニメーション。
日本とは感性が違う。芸術的。多分。
ストーリーはただただ人間のエゴを見せつけられて、犬の従順さを見せつけられる。
アニメの中で「人と犬とは違う」と犬は言う。「のん」の声で。
けど、明らかにその犬の言葉は人間の思考。
この映画を作った人は、犬をこの映画に出てくるような存在やと考えているんやろうか?
感性の違いをまざまざと観せつけられるような気持ち悪さ。
そして、ほんまにアニメ表現の多様さを見せてくるアニメ。
けど、芸術というものは理解出来ない人には全く面白くないもので。
…でも、ふと思った。街のシーンに映り込む、尋ね犬の貼り紙。多分、犬にアナと名付けた青年が貼ったものだろう。アナは、彼の夢を邪魔しないよう彼の元を去る。「犬がそんな人間的思考するかよ!」って思った。けど、これが人間の思考やとすると…?
もしかすると「自分といると不幸になる。他の優しい飼い主に見つけてもらって幸せになってね。」みたいなペットを捨てる人の思考を代弁させたんじゃないやろうか?
そして貼り紙は、捨てたペットの気持ちの代弁。
この芸術的な映像が犬の目から見た景色や心を表現したものなんやとしたら…。
犬は…マロナは飼い主に「私の一生を見て」と言った。
マロナの気持ち、今ならわかるかも知らん。
「あなたはそれでも犬を飼っていたと胸を張れますか?」
ニカイドウ

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