てるる

夏時間のてるるのレビュー・感想・評価

夏時間(2019年製作の映画)
4.2
過ぎていくひと夏の時間。
邦題の「夏時間」も悪くは無い。

でも映画の内容としては原題の「moving on(前に進む)」の方が良い。

父と娘、その弟の3人がおじいちゃんちの一軒家に引っ越すところから始まる。
家族それぞれの視線から描く夏休み。

何か訳ありのようだけど、多くは語られない。
出てくる人はみんな悪い人じゃない。
でもお姉ちゃんが知る大人の事情や汚い一面が切ない。

この映画、その家族の背景はほとんど説明されず、登場人物たちのセリフから慮るしかない。

それでいて意識高い系映画に多い難解というワケでもなく、むしろ分かりやすい。

それは映像の切り取り方や、登場人物たちの動きや表情からちゃんと感情や何を思っているのか想像できるようになってるから。

もちろん俳優陣の上手さも光る。
特に姉弟が自然な演技が素晴らしい。
それぞれが本当にいそうな人物像だし、それこそ本当の姉弟のように見える。

兄弟姉妹がいる人は「あるある」となるだろうし、なんだか微笑ましくも懐かしい。

そう、映画全体の雰囲気も日本で言えば昭和のような懐かしさ。
スマホが出てこなければ現代の話と思わなかったかも。

この映画もそうだけど、韓国映画の子役は本当に上手い。
どの年代にもきちんと演技が上手い俳優がいるのは本当に羨ましい。
てるる

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