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夏時間のogagawawaのレビュー・感想・評価

夏時間(2019年製作の映画)
4.2
いい映画でしたね…。しみじみそう思います。夏休みはおろかGWすらまだだけど、もう帰省した気分になった気すらする。鮮やかな緑と赤、草木と西瓜。

南向きの陽が差し込む風通しの良い祖父の家。だけど、それはどこか少し息苦しい。思春期の少女の目線で切り取られるのは、気怠げで眩いひと夏。大きな事件がなくても言葉が少なくても、感情は蓄積され揺らいでいく。この映画には夏の匂いがする。爽やかで、どこか懐かしい。

家族だけど、家族だから。祖父と父と叔母と弟。三世代で始まった暮らし。老いていく祖父、事業に失敗した父、自由奔放な弟、そして家を出て行った母…。姉という立場の窮屈さ。みんな弟を構う。そりゃそうなんだけど、でも納得できるかはまた別問題で。仲が決して悪いわけではない、わけではないけど…の感覚、あるよね。わかっているようでわからないこともある。僕はリビングで目を瞑るおじいちゃんを見つけて階段を引き返すシーンが大好きだ。あのときのおじいちゃんの家族には見せたことないような顔。

親に振り回される子供は、やっぱりどこか我慢している。スニーカー、ぬいぐるみ。麺を啜り、思いを飲み込む子供達。その我慢が決壊する瞬間の切なさ。とにかく麺料理が登場するよね。夏はやっぱり麺。噛み合ってないような家族の面々が、食事をする=噛み合うことで、なんとなく連帯というか繋がるというか、そんな気配を感じるのが絶妙だ。原題「姉弟の夏の夜 」。家族みんなを愛おしく思えるし、弟を演じた子役の子すごいよかったな。あるあるいるいる感がすごい
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