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はなれ瞽女おりんのleylaのレビュー・感想・評価

はなれ瞽女おりん(1977年製作の映画)
3.8
瞽女(ごぜ)=三味線と歌を生業に各地を渡り歩く盲目の女性

幼女の頃から瞽女として生きるおりん(岩下志麻)は、男性との性交渉を禁じられている瞽女の規律を破り「はなれ瞽女」になり、旅先で脱走兵の男(原田芳雄)と恋に落ちる…

厳しい三味線と歌の稽古、ストイックな暮らしぶり、雪道を裸足にわらじで行く姿に瞽女の過酷さを知る。

盲目だからと、よってたかって手ごめにしようとする男たちの醜さを描いてはいるが、実はおりんも情欲に身を焦がす女だった。愛する男が抱いてくれないため、情欲がアダとなり身を滅ぼすことになる。

官能的になりそうな話なのだけど、おりんが明るいのでジメッとしてないし、濡れ場も軽め。原作が短編だからか全体的にあっさりしている印象。五社英雄監督が撮ったら面白そうだな。

四季の美しさを捉えた宮川一夫のカメラワークは見もの。どのシーンもいいのだけど、やっぱり湖水のシーン。水辺を撮ったら右に出る者がいない。

明るい演技の岩下志麻に、瞽女の過酷さや女の情念を感じなかった(主演女優賞を獲ってますが)。よかったのは、凛とした奈良岡朋子、存在感のある樹木希林、男前な性格を演じた原田芳雄。
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