はなれ瞽女おりんの作品情報・感想・評価

「はなれ瞽女おりん」に投稿された感想・評価

fuo

fuoの感想・評価

4.0
壮絶な悲劇でした…
鑑賞後の絶望感がしばらく残ります。
ただ、樹木希林がこの映画に救いを与えてくれました。

ロケーションが素晴らしいです。製作陣の本気を感じます。(電柱1つ映さないよう必死に探し回って撮ったそう。)
Netflix
申し訳ないけど、これが樹木希林だったら、こんなに応援してないから、やっぱり、①に美貌、②に愛嬌、③④がなくて、⑤に宮川一夫ってぐらいの優先順位。
母に捨てられ身寄りなく、盲目ゆえ瞽女となり、長じては瞽女の家から出され、はなれ瞽女となったおりん。
下駄屋を営む母と貧しい暮らしをし、貧しさ故に金持ちの兵役逃れのために代わりに徴兵され、そして脱走兵となった男。
このふたりが出会って惹かれ合う。互いに身寄りもなく、ひとりぼっちだからと。

厳しいながらも美しい北陸の自然描写の背後で、岩下志麻演じるおりんの屈託のない語り。相当に辛い目にあっているはずが、仏のような笑みを浮かべるその姿。
そのおりんをひたむきに愛し、他の男のように一時の情欲のために決しておりんを抱こうとしない、原田芳雄演じる男。

その孤独と愛を代弁するかのような美しい撮影。自然の風景も、善光寺などでの人混みの描写も。どこかに希望があると思わせるような優しさも包みながら。

盲目のおりんと男の、房の扉の小窓を介しての最後の面会。最後に男が嘘をついていたと告白する。おれには身寄りがないと言ったが、実は母がいる、赦してくれ、と。おりんは言う。あなたにお母さんがあっても何もおかしくはない。
そして男は憲兵に引かれていく。
開いた小窓。小さい窓でも、大きい窓でもおりんには関係がない。男の心を、自分のことをひたむきに想い、大切にしてくれたその心を見ることのできたおりんにとっては。

男を失ったおりんは、自分の母の所在について聞かされていたことを頼りに、母を尋ねる。しかしそこで聞かされたのは母の死だった。

背後のトンネルの闇の中に、測量器だけが映し出される。印象的な暗転だ。
どこかに母が生きている、そのことがおりんを支え続け得たのかもしれない。彼女を愛した男の存在とともに。しかし自分を愛おしんでくれるはずの存在がもはやどこにもないと知ったとき、おりんはもはや自然の中で屍となるほかなかった。
ラスト、穏やかでうららかな風景の中に映し出されるおりんの乾いた骨はあまりに非情な自然と現実の姿を思い知らせる。

自然と人生を見事なカメラと演技で見事に融合させて描いた名編と思う。
岩下志麻の可憐さ。は、台詞回しにある気がする。「ありがとござます」がとにかくかわいい。
明るく訛りのある舌足らずの敬語で、時折寂しさを乗せながらあっけらかんと、ある種の諦念をも感じさせるニュアンス。
生きてる心地などないのと同じだが、なおも生きている、という「はなれ瞽女」リアリズムを表現してきっている。
それに、まったく違うアプローチで劇中いきなり登場してきて主人公に寄り添い、また唐突に去っていく樹木希林のバケモノ感。
とにかく強そうで、純粋でしかし、死への暴力に堕ちて行く原田芳雄。
役者陣もいちいち気が利いている。

そこに篠田正浩監督が到達した映像美。というか、日本の土着的な四季、をどうやら宮川一夫の撮影によってうまくビジュアル化したのかな、っていう印象。
篠田監督というのはディテールや、テーマに対しての構造やアイデアに集中して、骨を作り込んだあとはエモーショナルな部分の肉付けは俳優の演技だったりカメラマンの画づくりだったりに一任してる気がする。
そういう意味であまり世界観や、キャラクターに対してビジョンを具現化しているというイメージを持てないかなぁと思った。
そういう意味では監督というよりも、演出家というよりも監修っていう感じに長けた人なのだろうと思う。

が、篠田作品ではベストワンな感じ!
由子

由子の感想・評価

5.0
胸が苦しい
新潟越後瞽女の人生

しかし
原田芳雄 かっこよ!!!
法月

法月の感想・評価

3.8
某番組で篠田正浩監督+女優・岩下志麻特集を観て、興味を持っての鑑賞。

暗さ、重さ、湿り気。そう、自分が子供の頃に触れていた邦画は、確かこんなだった。懐かしい感触。

生まれついての盲目ゆえ、瞽女「ごぜ」(三味線をひき歌をうたい銭を乞う女旅芸人)となったおりん。
「この世の地獄が視えねぇように、阿弥陀様がまなこ(眼)潰してくださったんじゃ」
瞽女のおかみの言葉が沁みる。
これ以下はない底辺の暮らし、差別。
けれど、おりんの表情に格別暗さはない。
自身の境遇をありのままに受け入れる強さ、諦念。
昔の人の潔さを感じた。

岩下志麻の美しさ、原田芳雄の男臭さ、かっこよさ、奈良岡朋子の威厳、樹木希林の飄々とした演技、そして失われつつある日本の原風景。

過去の映画を観ると、いろいろと学ぶことがあるよなぁ......
そう感じさせてくれた作品でした。
日本の風情や情緒ある風景
瞽女として生きる
おりんの感性豊かな心模様が表情だけで感じられます。
言葉では伝えきれないぐらい素晴らしかった。
心に残る名作
シズヲ

シズヲの感想・評価

4.2
ジャケットのおりんの雰囲気に凄く惹かれたけど、本編に流れる空気も素晴らしかった。幽玄で寂しげな情景の写し方がとにかく秀逸で、カメラワークを含めた絵面作りが実に良かった。物悲しい話だけど、それでも諦観を受け入れずに最後まで生きるおりんの在り方は儚くも美しい。物静かで決して派手ではないけど叙情的な魅力に溢れた作品。

岩下志麻演じるおりんの美しさに惹かれる。はなれ瞽女になって社会的弱者として搾取され、そういう生き方しか出来なくなってもなお穏やかに微笑みを浮かべる姿が印象深い。どこか飄々としつつも麗しいあの表情が堪らない。三味線による歌唱を披露する場面も趣に満ちている。孤独な者同士で寄り添い、おりんと純粋な愛を育む相手役の原田芳雄も素晴らしい。冷たい冬風が静かに吹き去るようなラストの余韻は切なくも秀逸。
新文芸坐「表現社50周年記念 映画監督篠田正浩と女優岩下志麻の映画人生をたどる」特集で鑑賞。
 
瞽女とは、主に北陸地方において三味線を弾き唄を歌って各地を回った盲目の女性旅芸人。瞽女という存在を知らなかったので、その背景を学びつつストーリーを追って行くような感じ。昭和初期から戦中に掛けての北陸が舞台になっている。
 
この映画の頃の瞽女については、ごく最近までご存命だった最後の瞽女とも言える小林ハルさんのWikipedia記事を読むと理解が進むと思う。
 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%9E%97%E3%83%8F%E3%83%AB
 
他の多くの旅芸人と同様に差別の対象となり、性的なものも含む搾取を受ける存在だった。
 
水上勉の原作や映画では、この瞽女という存在を通じて運命の前に抗うことのできない人間の悲劇を表現したかったんだと思う。完全に昭和の映像なのだけれど、観ている感覚としてはギリシャ悲劇のようだったな。
 
上映後に篠田正浩監督と岩下志麻さんのトークショーがあった。その中ではこの映画には直接言及なかったけど、篠田監督の啓蒙的な発言を聞くと、そういうスタンスが映画にも反映されているなと思ったり。
 
トークショーのために超満員で、最前列の端という最悪のロケーションだったけど、若々しい岩下さんの姿と武満徹さんの音楽、昭和の北陸の景色と、今見ても見所があって楽しめる映画だった。
ゐきち

ゐきちの感想・評価

3.0
原田芳雄かっこよすぎ
おりんもっと慎ましい感じかと思ってた
いや仕方ないっちゃ仕方ないのだけれども…
思ってたよりも生々しい映画だった
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