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ヴィタリナの3skのレビュー・感想・評価

ヴィタリナ(2019年製作の映画)
4.7
画は光によってフォーカスが絞られているのに対し、音は台詞に焦点があてられつつ、徹底的に隣の空間の音が鳴っている。それもかなり「近め」な音で。
絞られた画に広い音、カメラにシンクロしたマイクという発想からするとかけ離れているように思うが、感じるものは「肩身の狭い」空間。その空間はまさに移民たちの感じているものなのかもしれない。あくまでも擬似体験だけれど、迫ってきた。
藪の中で、空調のような不思議な音が鳴っていた。定位が光源の方にあったから、『ヴィタリナ』の光の音だろうか。あそこから、どんどん空間がひらけていった。墓のある丘の上、最後の建築のシーン。クレジットの短めの弦楽合奏もあいまって、なんとも節度のある良い塩梅のカタルシスのある終わり方だった。
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