yasspanda

春江水暖~しゅんこうすいだんのyasspandaのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

浙江省富陽区、杭州市内から車で40分。
風光明美で知られる富春江が市内を流れ、紀元前221年、秦の始皇帝が富春県を設置した。黄公望(1269~1354年、元代の画家・書道家)がこの地を描いた『富春山居図』は有名。

近くに杭州(上有天堂,下有苏杭、空に天国があり、地上に蘇州と杭州がある)というあまりに有名な土地があるため、落ち着いた歴史を送ってきた。

本作は開発と変化が進む、富陽を舞台に展開される。
4人の兄弟が出演しているが、彼らが生まれたのは一人っ子政策の時。ちゃんと教育を受けられる訳がなく(二人目以降が教育を受けるには高いお金を払って戸籍を買わなければいけない)もしかしたら字もかけないのかもしれない。
当然学校で普通話を学ぶ機会もなく、方言しか喋れないし、単純労働につくしかない。孫とおばあちゃんはものすごく綺麗な普通話を話す。そこもリアルな対比だった。

ダウン症の子供がいる三男ヨウジンは子供の医療のために、博打に手を出す。4人の子供はお金・介護に苦心する。ダウン症の子供をもったとき、その子を川に投げようかと思ったと話す三男のシーンがとてもよかった。清濁併せ吞む。色々あるよなと。

そんなやりとりを長回しのカメラが描き続ける。
そのスケール感が圧巻。自然の中に人がいる。なんと美しい映像だろうと思った。

監督の言葉で
中国の伝統的な風景画は、宇宙的な感覚、時の永遠や空間の無限を記録するために、時間と戯れることを試みるのです。
というのがすごくよかった。風景画みてみます。

監督  顧曉剛
yasspanda

yasspanda