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劇場版「鬼滅の刃」無限列車編のkyoroのレビュー・感想・評価

4.4
一言で表しきれないくらい見どころが満載な作品。老若男女を問わずどんなレイヤーの方が観てもなにか感じるポイントがあるのではないかなと感じさせられる凄さがある印象。
人が、「夢」をみたい、夢に逃げこんでしまいたいと思ってしまう弱い部分の描き方。また、その人の無意識領域にあるその人をささえる繊細な部分を「核」と表現し、「夢」と「核」との対比からそこを壊すことで人は簡単に破滅させられると考える「鬼」の戦略の描き方。。
これらの視点は、子供向けというより心理のプロの方が観られても何か感じ得るものがあるのではと思わされたぐらいです。

深い哲学的要素もちりばめられている印象もあります。
人間も、弱さやあまりにも何かを執拗に追い求めれば「鬼」にもなる可能性があり、逆に「鬼」に変わってしまったとしても、今回の物語で話される「核」の部分がしっかり育っていれば内面までは変わらないという教えのような要素も押しつけ感なく感じさせられる部分があり、そういった点でも、秀逸な作品に仕上がっているのではないでしょうか。。
ラストも、昭和の時のようにわかりやすい「正義」が完全勝利で終わるのではなく、上位階級の鬼なりの美学が語られ、対して「限り」があるから美しかったり、負けるからこそより正義感が際立ったりといった令和の時代ならではの多様性の視点からくる価値観をうかがわせる要素を取り入れられていると感じた点も評価を上げたポイントです。

長くなりましたが、それくらい様々なナニかを感じさせてくれた秀逸なアニメーションだということが伝われば嬉しいです。

※鑑賞者に小冊子のプレゼントもあり製作者やスタッフ、原作者の熱のこもった真摯な作品づくりに感謝です。
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