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ブータン 山の教室のItottyのレビュー・感想・評価

ブータン 山の教室(2019年製作の映画)
3.8
ブータンの都会人ウゲン。教職をやめて歌手になろうと考えていたころに、政府から言い渡されたのは、ルナナ村への派遣でした。
都市部からバスと徒歩で8日間かけて、標高4800メートル近くにある山の奥。ドルジは何を感じ体験するのでしょうか。


ブータンでさえ知らない(今さっき調べて、インドの東、バングラデシュの北らへんにあることはわかった)のに、そのブータンに住む国民ですら行かない、僻地のルナナ村での生活を少し覗くことができて、とても面白かったです。
何よりまず富士山よりも遥かに高い場所が生活基盤って想像もできません。せいぜい1500メートルの登山しかしたことない自分にとってはかなり衝撃で、しかもまずそこへの8日間の登山靴が、小学生が使うようなカラフルな長靴って!衝撃!(ちなみにウゲンの買ったゴアテックス靴がびちょびちょになるのも逆に驚いた)
あとはヤクという動物のフンの活用法もね、かなり驚きでした。映画では臭いが伝わらないことだけが残念だけど、あれを何度も素手で触る生活もなかなかに衝撃でした。(もちろん食事は素手ですから)


環境面での発見とともに、村人たちも素敵でした。
1番はクラス委員長のペムザム。反則級に可愛い。こんなにも瞳がキラキラした人間は見たことがないかもしれない、と思うほど、素敵でした。実際にルナナ村に住む9歳だそうで、名前も本名でびっくり。出会いの笑顔や別れの涙の演技がすごすぎて、あぁ実際にこんなふうに派遣の先生と出会い別れてるのかなと切なくなるほどでした。

大人たちも皆、相手を敬うような態度や優しい眼差しが印象的でした。のんびり、という表現が正しいかわからないけれど、誰かにどう思われるかなんて気にすることなく、自らの役割を悠々と果たし生きる姿は素晴らしかったです。
映画ではそんなルナナでの生活の厳しさはあまり描かれてませんでしたが、神々やヤクへの感謝がこもった歌や祈りを聞くに、きっと大変なことも多いと思います。多分医者だっていないのでしょうし。
だからこそ、自然を含めてあらゆることに感謝すること、尊敬すること。それを日々表現しているのだと思いました。
ウゲンにもきっとその想いは伝わり、歌にのって届いたことでしょう。。。

泣きはしませんでしたが、そうだなー、全ての働く大人たちに見てほしい映画ベストテンに入るくらいでした😊




あとは映画関係ない思い出話。

初めて青梅のシネマネコさんでの鑑賞。
木造の建物でスクリーンは一つだけ。
席は、おじちゃんおばちゃんで半分近く埋まってました。勝手な想像で、近隣の方々が地域密着型で来てるのかなと微笑ましかったです。
隣のおばちゃんの肘は何度か当たり、途中携帯電話の着信音は2回ほど響きましたが、みんなで映画時間を共有してる感覚で嫌な気分にもならず。
館内は常に木の香りに包まれていて、なんともよい体験をさせていただきました。
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