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ブータン 山の教室のanguishのレビュー・感想・評価

ブータン 山の教室(2019年製作の映画)
3.9
○教師よりも海外に出てミュージシャンになりたいウゲン・ドルジは今の生活は投げやり状態。そんな態度を見かねた長官は残りの義務期間の一年を冬が訪れる期間まで、辿り着くまで八日間もかかるルナナ村への赴任を義務付けた。

全体の4分の1が移動に当てられこのシーンで主人公と迎えの二人の村人の交流が映し出される。ウゲンは塩対応で合槌すらも軽薄で常にヘッドホンをしていて嫌なやつ。一方、紙が高級品だと言う村人ミチェンは先生であるウゲンを崇める様な扱いで、ぶっきら棒に扱われようとも態度を崩すことはない。

村に着いてからウゲンの心に変化が表れる、子供たちは目を輝かせ勉強する事に喜びを隠せない、そんなウゲンも教えていく事で最初こそ帰りたいと吐露した事もあったが、掘っ立て小屋のような学び舎で黒板やチョークをミチェンたちと工夫して作ったり、友達から送って貰ったりと精力的に動き出すようになり、自分の部屋の風除けの紙も厭わず教材にするほどでした。

そして冬の訪れが山を染め上げ始めた季節、別れの時、彼はこの村に心残りがある事に気づく、教え子たちと村一番の歌い手セデュとの淡き思い…部屋の片隅で埃をかぶったiPodが印象的でした。ラストは余韻のままでよかったかも、オーストラリアは蛇足でしたね、あれのせいで全てが台無しでした。

20220319-22(087)
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