ハッパやってる知人から送られてきた心霊映像を基とした北九州が舞台のモキュメンタリー──と粗筋から倫理が死んでいる様相はアウトローを冠するに相応しい開幕だったが、良くも悪くもドキュメンタリーに寄り過ぎなのが気になったか。しかしあの前代未聞のオチは大笑。
心霊×カルト×アウトローというタイトルではあるが、前者二つの要素は概ね作中では活かされないままに終わってしまったのが主に作品としての賛否を分けるか。既存のモキュメンタリーに媚び過ぎない現実に即した作劇はユニークでありながらも、前提としてモキュメンタリー好きが好む変わり種という趣があって、一周回ってそのファンに頼りきりな構造こそありがちという風にも取れる。情報が集まっていくに従って物語の全体の構造は見えてくるが、モキュメンタリー仕立ての作品ならばそれが例えば霊的現象としてだとか、そういった形で観客とキャラクター達に揺さぶりをかけるものでなくてはならないのでは……。現実に即した展開や絵面を連続すればそれっぽい物が仕上がる訳ではないと言える。しかし作中で実の父親にガチ説教される展開はこの手のモキュメンタリー作としては類を見ないそれで、ドライブ感に限ると光る物を感じる一作。
