鰹よろし

PORTALS ポータルズの鰹よろしのレビュー・感想・評価

PORTALS ポータルズ(2019年製作の映画)
1.0
 パパ、ママ、娘の三人家族。パパは娘の朝食の準備をスマホを片手にテキトウにこなし、ママは大きなキャリーケースでせっせと荷造りをしている。地方に住む遠く離れたおばあちゃんの家へと避難する様だが、娘へと伝播し表出する不安から、この家族の関係が終焉(離婚?別居?)へと向かっている様にも見える...

 緊急コールセンターで通報者同様状況を何も把握できていない中対応に当たる者たち。娘がいなくなったとの通報に応対するのは、自身もまた娘と連絡がつかず不安に苛まれている母親であり、突如出現したポータルと意思疎通を図れる男は学校の銃乱射事件からおかしくなったとされ、その事件の通報者の身に何かが起き罪悪感にかられているか、その事件において大切な誰かを失ったかつて父親だった男であると思われる...

 仲良く買い物を終えたかと思えばキョウダイ喧嘩へと突入する姉妹。サラは我が子を亡くしてからというもの、家族と距離を置きたく外国で英語を教える仕事に固執しており、そんな彼女を家族の元へと連れ戻すべく、ジルは申し訳なさそうにお腹に新しい命が宿っていることを告げる...

 そんな彼らの眼前に出現するポータルはまるで、

 見た目も相まって、誰かと会話できる通信機器(デバイス)であり、どこか別の場所(次元?)へと通ずるドアであり、

 また契約を持ち掛けてくる悪魔の様であり、その悪魔とは人間(の目?)を媒介にしないとポータルの外に存在できない様で言うなれば寄生生物の様であり、行動を操る能力もある様でそれはまるで感染力の強いウィルスの様であり...、

 変幻自在のモノとして描かれており、各パートでポータルというモノを厳密に突き詰めてはいないのだが、ポータルを人類の上位種であることを大前提に、その根底には家族の繋がりという観点が敷かれており、それを考慮するとポータルとは人と人との繋がりを暗示するモノに思え、そこに絞り何かしら理解を得ようとするのならば「フォーガットン」(2004) や「運命のボタン」(2009) といった作品が糸口になる気がする。

 また、最終的に場所と場所、点と点を線ではなく点で結ぶモノとして描いており、それは詰まり同時に同じ場所に存在し得るということであり、これは物理的な距離の超越はもちろん究極時間を超越するモノであり、この観点を考慮するのならば、「イベント・ホライゾン」(1997)、「インターステラー」(2014) もしくは「メッセージ」(2016) 当たりが糸口に...??


 自らの足の速さのみで移動していたころと、自動車や飛行機といった長距離を短時間で移動できる様になった今とで、人類の在り方は変わっただろうか。

 元々の生息地で生活していたころと、諸々の移動手段で行動範囲を広げ、生存可能領域を広げた今とでは?

 人間自身が移動し情報を共有しようとしていた時代と、自らの身体を移動せずとも数秒で世界中の誰とでも繋がれるネットワークが構築された今とで、人類の在り方に何か違いは生まれただろうか?

 では、ポータルが場所と場所とを線ではなく点で結ぶことができる移動手段であるとした場合に、時間を超越し得るモノだとした場合に、

 また、ブロック宇宙論...スポットライト理論...、過去・現在・未来が同時に存在している(決定論)とした場合に、そしてそれを見ることができ知ることができ、また関与・干渉できるとした場合に、

 チャイルドシートやGPSといったランダム論を前提に構築されたルールやシステムは、

 生を以て繋がり、死を以て絶たれるとする、一方通行な時間に依存する人と人との繋がり、家族の繋がりは、「愛」は...、いったいどんな変貌を遂げるのだろうか?


「イベント・ホライゾン」(1997)...「ブラックホール」(2001)...「フォーガットン」(2004)...「ブラックホール 地球吸引」(2006)...「地球最後の男たち THE SIGNAL」(2007)...「運命のボタン」(2009)...「ザ・グラビティ」(2013)...「ダーク・グラビティ」(2013)...「インターステラー」(2014)...「シグナル」(2014)...「ザ・メッセージ 地球侵略」(2014)...「ディアボリカル」(2015)...「ザ・プロジェクト 瞬・間・移・動」(2016)...「メッセージ」(2016)...「アナイアレイション 全滅領域」(2018)...「シャザム!」(2019)...「鋼の錬金術師」...
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