悪魔の毒々クチビル

ヘルウィンの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

ヘルウィン(2019年製作の映画)
3.7
2015年のハロウィン。パトリック(通称トリック)が同級生を何人も殺害し、逮捕された。後に逃走した所を発砲されるも死体は見つからず。そしてそこから毎年ハロウィンになると近隣の街で同じような殺人事件が発生していき‥なお話。


邦題はまぁ、特にいじる所も無いよね。ただこういう便乗邦題作品ってそれだけで印象悪いことが多いんだけど、俺はこちらは中々好きでした。
さすがにゴリゴリなスプラッターの域までは行かずとも冒頭からザクザク死人が出ていき、殺し方もシンプルにナイフで刺すだけでなく即席ジグソウみたいなトラップを仕掛けたり、挙げ句には前年殺した相手の墓標で顔面粉砕みたいな、斜め上の方向に不謹慎な手法まであって思いの外見応えがありました。

あとキャラも良かったです。
トリックが起こした最初の惨劇を生き残ったシェリルが主人公かと思いきや、この事件を毎年取り憑かれた様に追い続けているデンヴァー刑事がメイン。
基本的には翻弄されてばかりでしたが、最後に執念の粘りを見せたお陰で仲間が真相を見出だせるくだりとか良いじゃないですか。
このシェリルとデンヴァー、そして彼の同僚保安官のジェーンと終盤三位一体というか、何か良いチーム感出ていてそこが地味に好評価でした。そんな訳であのラストもちょっとジワりと来たよ。

トリックに関しては色々と不明な点が多く、そもそも何故あのタイミングで急に凶行に走ったのかもよく分からず。あれか、そんなにキスしたくなかったんか。
衝動的な犯行かと思いきや、学校に登録していた住所はデタラメだしアルバムの写真にも映らなかっただけでなく、陰キャとは言えこのSNS時代に全然写真を残さない程徹底していたので計画性があったのかもしれませんがどっちにしても動機が不明瞭なままでしたね。
ていうかネットに痕跡残らないってどんだけ。
周りの生徒もトリックの顔はうろ覚えだから似顔絵もあまり意味がなくて、仮に意図的でなければ可哀想過ぎるレベルでした。

劇中あまりに神出鬼没なトリックにデンヴァー達もこちらも不自然さをずっと感じていたら、まさかの真相が発覚!‥と言いたい所ですがあれだと実質二択ですからね。驚きはほぼ無かったです。
他にも色々とツッコミたい箇所や変に謎なままの部分もありましたが、そのまま2へ続きそうな終わり方だったので構想自体はあるのかもしれません。
個人的にはスラッシャーで続編込みな終わり方ってあまり好きじゃないんだけど、今作はキャラが良かったのもあってもう一作くらいなら普通に観たいと思えました。

因みにスラッシャー繋がりでジェイミー・ケネディも出演していますが、「スクリーム」の頃の記憶を頼りに観るとどこにいたのかさっぱり分からなかったです。
あれからもう随分経ちますからね。そりゃピーター・ストーメアみたいなルックスにもなりますよね。