人間の認識、知覚、感覚。それらの外側にあって、ヒトには感知できない様々ものがこの宇宙には存在する。
我々は赤外線もX線も見ることができない。
人間にはそもそも認識できない種類の概念というものも存在するだろう。銀河を内包する宇宙、それらを内包する宇宙、宇宙の外側。4次元や5次元といった高次元。
これらは一般に『宇宙的恐怖』と呼ばれ、クトゥルフ神話が有名な例だ。その神話体系を築いたラブクラフトの傑作『宇宙からの色』を現代風にアレンジしたのが本作。
この手のお話は『認識・知覚することができない』ものを扱うので、映像化とは非常に相性が悪いだろうと考えていた。実際、クリーチャー群はどこか懐かしさを感じるCGでまぁまぁと言う感じだった。
しかし特にラストにかけてのCGは非常に健闘しているなという感じがあり、壮大な宇宙的恐怖と、その美しさを映像的に表現できており、少なからずワクワクさせられた。
サウンド・トラックを担当しているのは、ヘレディタリーで素晴らしいサントラを聴かせてくれた、Colin Stetson。
オーストリアのディジュリドゥを吹くときのような、循環呼吸による奏法を特徴とするサックス奏者だ。一定のリズムで繰り返されるサックスの音で、冒頭ですぐにそれと分かる。
本作でも彼の作るサウンドトラックは素晴らしく、ドラマ『DARK』を思わせるような重厚で、好奇心と恐怖心を同時に煽りながら、荘厳な印象を与える優れたサウンドとなっている(と思う)
Dead spaceと、テーマが似通っていて、『マーカー』とそっくりなオブジェクトも登場したし、サントラも少し似ている気がする。リファレンスかな。
(サントラはターミネーターの方が似てるかも)
本作はこのサントラの果たした役割が非常に大きく、このサントラなしでは雰囲気も何もなく、本当にただのB級映画だっただろう。
ニコラス・ケイジの演技は精神が不安定な感じで、まぁいつも通り。オーバーな気もするが、状況を考えると逆にフィットしてる。
ニコラス・ケイジ、あまりにも多くの映画に出すぎて、一つのジャンルになったよな。ステイサム映画みたいな。