イマジンカイザー

映像研には手を出すな!のイマジンカイザーのレビュー・感想・評価

映像研には手を出すな!(2020年製作の映画)
2.5
原作の要素を演技や画としてお出しするのは上手いのに、それ以外の要素が足を引っ張ってる、今どき珍しいくらい原作付き映画の王道みたいなので逆に笑う。

もともと先んじてドラマ版が展開していたのと、NHKに於いてアニメ化済み。その上でどんなものが出てくるかと思ったら、状況説明がドラマ版のダイジェストになってるのは正直どうよ。
いや、アニメが既に存在してる時点で同じことをやっても二番煎じにしかならないと思うのですが、アニメを制作する作品でアニメーション部分が正味2分くらいしかないのには流石に目を剥きました。

おはなしの流れを見る限り、「文化祭」を盛り上がりのてっぺんに置くのは正しいし、一クールあったアニメ版と同じことは出来ないなってのはすごくよく解るんですよ。けれど作品の根幹に関わる部分ダイジェストで見せたらその後ガタガタですやん。はらはらの根幹にある水崎ツバメの設定を雑に流したせいで、観客にはらはらしてもらわなきゃ、ってところがだだ滑りしているのは本当にいただけない。

メインの役者さんたちは「それぞれ宗派の違うオタクたちが、モノづくりの為にあけっぴろげに気持ちをさらけ出す」部分を上手く表現出来てましたし、あのおはなしを実写に落とし込む面はめちゃくちゃ褒めたいんです。作りかけの線画の部分は実写でやるから! ってところが上手く出ていましたし。

ただ、それ以外の実写で肉付けされたシーンの殆どがそのへんの爽快感を丸ごと削いでるので、終わってみれば全然印象に残らない。元々こんなにアホだったり軽薄だったか? ってキャラたちに、かなり自由な世界観とはいえそれを拡大解釈して現実にまで影響を及ぼすとこだったり。実写ならでは本作ならでは、で呑み込むにも無理がある。別にいらんやん羅生門。わざわざ元ネタに寄せてきてセリフに違和感のあった七人の侍……。

良いところは凄く良かったので、いろんな方面と折半した都合なのかなあと無理矢理納得させて終わろうかなと思います。
残念です。