イェン円

映像研には手を出すな!のイェン円のネタバレレビュー・内容・結末

映像研には手を出すな!(2020年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

原作、アニメ版履修済み。
ドラマ版は未視聴の状態で鑑賞。

「不思議な世界でアニメを制作する部活動」という内容の時点であまり実写向きで無い題材かつ、アニメ版という一つの「答え」がある以上、評価をする事に対して最初から不利である。
今作は原作単行本の2巻をベースに、一部それ以降の展開も挟みながら話が進むのだが、作品のテーマをアニメ制作より部活動と生徒会の抗争という形にしているのは理解ができるし、摩訶不思議な部活動と協力して危機を脱するという展開は単純に面白く、楽しんで見る事が出来た。

今作最大の問題点は主役を演じる乃木坂46の三人である。
あまりに可愛すぎる。
原作では、
・タヌキみたいな顔をしている浅草みどり
・三白眼とそばかすが特徴的な金森さやか
・美人なカリスマ読モの水崎ツバメ
という三人組の物語だが、映画版では
・超美少女の浅草みどり
・超美少女の金森さやか
・超美少女の水崎ツバメ
となってしまっている。
要するに水崎ツバメ(水崎氏)のキャラが完全に死んでいるのだ。これではカリスマ読モの力を使わなくても十分集客は成り立ってしまうだろう。

ストーリー上の被害者となったのは金森さやか(金森氏)で、原作では有り得ない展開が途中で起こる。
その展開を踏まえる事で、金森氏が人間っぽい反応を見せるシーンに繋がる。
原作ファンは拒否反応を起こすのではないかと思う展開だが、超美少女の金森氏が人間っぽい反応を見せるとどうなるか。
凄まじいレベルの萌えキャラとなるのだ。
ストーリーの犠牲にはなったが、それのおかげでめちゃくちゃ可愛いキャラになってしまった。
私は良いと思う。

浅草みどり(浅草氏)の問題点は最終盤のシーン。
原作では水崎氏がキメる場面なのだが、そこに浅草氏がわざわざ出てきて、特に意味もない感動シーンにさせられている。
浅草氏を演じている斎藤飛鳥は乃木坂46の1期生、後の二人は3期生が演じている為、そこら辺のパワーバランスを考えてしまう。
それが無かったとしても、浅草氏と水崎氏の友情を感じさせる場面にされているのがそもそも良くない。
ラストのセリフに繋がらないのだ。

この映画の難点は苦悩や悲しさを表現するシーンが多いところ。何度も冗長な場面が続き、泣かせるBGMを流しておけばいいだろうというのが透けて見えるのがあまり良くない。

劇中出てくるCGのロボット戦など、お金がかかっていると思う場面もあるのだが、バラエティ的な演出、OPなど、TVドラマの延長にしか見えないシーンも多いのも辛い所である。

難点を多く書いたが、この映画はアイドル映画である。
映画が終わって劇場が明るくなった時、隣に座っていた乃木坂ファンと思われる女の子達が「可愛かったねー!」と言い合っていたのを見て、これはこういう作品なのだと思う事ができた。
内容はさておき、可愛い乃木坂ちゃんを大画面で堪能できるのは間違いない。
新しい金森氏を見る事が出来るという点においては原作・アニメファンも見てもいいかもしれない。