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辰巳の水のレビュー・感想・評価

辰巳(2023年製作の映画)
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純度100%の爆発する熱量を浴びせ続けられる108分。単なるバイオレンス映画や裏稼業ものではなく、これは紛うことなく人間の苦悩と覚悟の話。苦しくて痛くてヒリヒリする、そしてそのボルテージは展開が進むにつれて加速していく。小路監督、映画を撮るのがうますぎる。

辰巳という名前は干支の中でもラスト、つまり全ての復讐劇を終わらせる存在の隠喩だと思った。

役者は全員ヤバいが、遠藤雄弥と森田想が異次元。発話直前の半笑いとか、自虐的なんだけど現実的な視点とか、他人を傷つける度に自分がすり減っていく様子などを見事に表現していて良すぎ。演技力の底知れなさにどんどん引き込まれていく(森田想の最初の威勢の良さがめちゃくちゃレオンだと思ったら実際レファレンスだったらしい)(伊能さん出てるけどバトルはしない)

ありえないほどキャスト・スタッフ全員のエネルギーが強く、撮影から5年経つらしいが今でもその固い絆と深い意志を感じられて大変素晴らしい舞台挨拶だった。役者たちが自信と愛を持ってこの作品に寄り添ってる感じがしてめちゃくちゃよいし、特に小路監督のトークは何言ってもよすぎてグッときて泣いてしまった。

あとクレジット見て腑に落ちたのはスタイリストのお名前。やはりフィジカルを駆使する稼業の役には、入山浩章さんのスタイリングが気持ちいいくらいピッタリハマるんだよな!(竜ニとかwildthingsを着ていて絶妙すぎた
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