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辰巳のmのネタバレレビュー・内容・結末

辰巳(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

(森田想のファンなので多少のフィルターは入っている)だが4.0は超えるだろう作品。

作品のテーマは愛といえば愛なんだけど、愛の一言で終わらせたくない。男のプライドとか義理と人情とか、その狭間で数え知れない葛藤を抱えている辰巳と、最愛の姉を失った葵。2人の距離がだんだん近くなっていくにつれて、組の一員である自分と辰巳という人間である自分の間で揺れる姿にグッとくる。
葵は葵ではっきりとしていていつもまっすぐだけど唯一そのまっすぐな気持ちが折れるのが血を出している辰巳が車を発進させるのを見かねて止めようとするシーン。お前はそんな弾じゃねぇだろ、って辰巳の言葉で葵は最後まで葵でいられたこのシーンは京子を亡くして居場所も生きる道筋も失いかけた葵に希望が見えた瞬間。

あんなに強気なのに死ぬのが怖かったり遺体を見れなかったり、葵の子供の部分が見える度に愛おしい。
そしておっさん、と言いつつも辰巳のことを段々信頼してきてたけしを殺した後に救ってほしいと電話で目を逸らしながら言うシーンも心くすぐられた。

京子にネックレスをいつかあげるって言われたと話してたシーンで2人が目を合わせるところ、もうあの辰巳と目があった瞬間の葵の表情の変化がたまらない。あの瞬間葵が心から辰巳を信頼し恋してしまったとヤクザ映画とは思えないほどのドキドキMAX。
若くてツッパってて辰巳に正直にならない葵はもどかしいけどそんな2人の距離感がたまらなく愛おしい。戦いのシーンや死体をバラすシーンはゾクゾクしたけどそれを上回るほどの辰巳と葵2人の関係性が魅力的。見どころは間違いなく2人の縮まりそうで縮まらない距離感。

ヤクザ映画なのになんでこんなにキュンキュンしてるんだろってなった。いつ殺られるかわからない緊張感があるからこそ余計に芽生えるドキドキ感と2人の微かな心の揺れから目が離せない集中力MAXで観る作品。
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