作品の性質上、本題の趣旨が多少悪くても。
映画を観ている方なら、満足度が高いです。
なぜなら名画の名場面がここぞとばかりに。
押し寄せてくるからです(笑)
この作品を観ている途中。
なぜ私が映画館に足を運ぶのか。
理由の一つを自覚する事ができました。
映像は大きいモニタ等で代用できますが。
音響・音楽は代用できません。
日本の住宅事情では大きな音は出せず。
ヘッドフォンでは味わいが違います。
広い空間に響き渡る、音の波動。
これを全身で浴びたいんですね。
音響、音楽の前に。
映画の音の歴史から。
導入する展開が良かった。
時代はサイレントからトーキーへ。
技術革新により、映画が根本から変わり。
あのチャップリンでさえ、喋るようになった。
その改変期を題材にした『雨に唄えば』。
想像した映像が流れるのが、良かった。
ヒッチコック監督は作品『鳥』で。
現実的恐怖を演出するため。
劇伴を使わなかった、有名な逸話も含み。
やがて、モノラルサウンドからステレオ。
そして、5.1chへ変遷していきます。
それに合わせて、流れる音楽も。
モノラル、ステレオ、5.1chと。
変化するのが面白かったです。
そんな中で『地獄の黙示録』が流れると。
確実に空気が変わるのを感じました。
静と動の狂気が脳内に想起され。
また劇場で観たくなりました。
現代音楽のジョン・ゲージ氏の。
実験的・即興的な映像がとても貴重。
『ゴッドファーザー』のシーンでは。
彼のアプローチを意識しているのが、興味深いです。
音響技術やテクニックは解り辛いのですが。
彼らが、試行錯誤を積み重ね。
妥協を良しとせず。
果敢に音作りに向かい合う姿には。
多大な感銘を受けます。
普段見れない姿を見れるのが。
何よりの収穫でした。
実際の音を録音したら、迫力不足で。
獣の叫び声を重ねて使った、など。
細かな裏話も面白かったです。
最後にまた。
名画のダイジェストが流れて物語は終わり。
性懲りもなくまた劇場で作品を観たいなと。
強く感じる私がいるのでした!